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神戸・紀伊半島ツーリング[2] [drive/touring]

友人の結婚式に出席し、迎えた翌朝。
礼服を詰めたガーメント・バッグをB3のトランクに放り込み、ホテルのパーキングを出ます。
雲ひとつ無い青空からは、初夏のような陽射しが降り注いでいました。
今日は紀伊の山奥へと走ります。
が、その前に立ち寄るべきところがありました。


六甲アイランド.jpg六甲アイランド
BMWの一大イベント、「BMW Familie! Westen in KOBE」の会場です。
が、私が到着したのは開場の1時間前。
スタッフの皆さん、最終の準備に余念がありません。
で、輪になって打ち合わせをしている5-6名の中に目指す人物を見つけた私。
息を殺してその背後から忍び寄り、そっと囁きます。

「何してんねん・・・」
「え?・・・あぁっ!!」

クルマ仲間のmtmさん
このイベントのスタッフとして会場にいるとのことでしたので、忍び寄らせて頂きました(笑)。
前日は深夜まで、当日も早朝から頑張っているとの由。
いや、本当にご苦労様です。
そんなmtmさんの邪魔を小一時間ほどさせていただき、会場を後にしてマック・・・いや、「マクド」で朝飯を食って出発です。


阪神高速湾岸線.jpg阪神高速5号→4号と、大阪湾沿いに湾岸線を時計周りに快走。
4号線の南端である泉佐野南出口で高速を降り、R481経由でK62を南下していきます。
山越えの楽しそうな道なのですが、なんだか交通量が多くダラダラ走行を強いられます。
うーん、つまらん。

和歌山県に入り、打田(うちた)の街に出てから高野山方面へと走ります。
が、今日は快晴の日曜日。
迂闊に高野山へ向かうと、渋滞に巻き込まれかねません。
で、信号待ちの間にツーリングマップルを開いて一思案。

常人ならばまずここから立派なR24で東へ走り、R480かR370で高野山へ向かうじゃろ。
ならばその裏をかき、ここは一つK3で山の中を走ってやるとするかの。
わざわざこんなルートで高野山へ向かうヤツもおらんじゃろうて。
多少遠回りにはなるが、なに、その分ペースを上げて走れば良いだけのこと。
どうじゃ、思い知ったか。
わーっはっはっはっはっはっはっはっ!(←誰?)

・・・と言うことで、K3を東進するB3。
思っていたよりも明るく拓けた山間のカントリー・ロードで、目論見通りクルマは殆ど走っていません。
3速⇔4速の快適なマイペース走行が続きます。
そのままR480にスイッチ、R370との交点からはさすがに交通量も増えてきましたが、さほど時間もかからずに高野山に到着しました。

B3を駐め、散策でもしながら少し歴史に触れてみようかと思っていた私。
が、連合艦隊を彷彿とさせるかのように驀進する観光バス群や、ゲラゲラ笑いながら車道を横断する無数のオバハンなどを見るにつけ、そんな気持ちも何処へやら。
気がつけばそのまま高野山を素通りし、R371/高野龍神スカイラインをアクセル開けて走っていました。

この道を走るのは、今日で三度目。
何度走っても本当に楽しい、40kmに及ぶ山岳道路です。
このまま一気に走り抜けようかとも思ったのですが、六甲アイランドからノンストップで走ってきたため、レストランのあるパーキングで休憩。
ペットボトルの冷たいお茶をガブ飲みし、深く喫う煙草は旨いことこの上なしです。


護摩壇山付近.jpgベンチに座って交通量の少ない道を眺めていると、みんな楽しそうに走っていきます。
色とりどりの、スポーツ・バイクたち。
のんびり走る、家族連れの1BOXカー。
揃いの革ジャンで決めた、アメリカン・バイクの一団。
和歌山県警の、パトカー。
天気も景色も最高、文字通りのドライブ日和でそれぞれ気持ちよく走

・・・って、なんでこんな山の中をパトカーが走って来るんだよ(汗)。
楽しい気分も一気に萎えそうになりましたが、パトカーと同じ龍神方面から走ってきたユーノス・ロードスターの兄さんに聞いたところ、この先も特に取締りなどはやっていないとのこと。
兄さん「今日は最高っすよ。この先も気持ちよう飛ばして行って下さい!」
wata「了解(笑)」


龍神スカイライン.jpg1,000mクラスの稜線を走る絶景のスカイラインも、護摩壇山を過ぎると下り急勾配の屈曲路に変貌。
右へ左へ舵を切り、タイヤ鳴らしてダウン・ヒル。
龍神温泉を過ぎると、R371/龍神街道は渓流に沿って走る快適なクルージング・ロードとなります。
4速⇔5速で南下を続けていきました。


熊野古道を行く.JPG
団子で、一休み。.jpg西へと向かう国道を離れ、改良済のK198を引き続きハイペースで南下。
R311との交点を左折し、中辺路(なかへち)からは旧道に入ってのんびり走ります。
この付近は、いわゆる「熊野古道」が交錯する歴史街道。
B3を駐め、そよぐ風の中を少し歩いてみました。
深い緑に覆われた熊野の山々を眺めつつ、風情のある茶屋で団子などいただきます。
うーん、イイですねぇ。

再びR311に戻り、東へ。
本宮からはR168へとスイッチし、さらにR169→R311と結びます。
和歌山/奈良/三重の県境であるこの付近は、国道と言えども1-1.5車線路。
暗い森の中、ライト・オンで走ります。
K780に入り暫く走っていると、急に目の前が明るく拓けました。


丸山千枚田.jpg三重県紀和町、丸山の千枚田。
斜面に広がる棚田は、文字通り1,000枚以上あるとのことです。
初めて目にする光景に、暫し呆然。
休憩所のベンチに腰を落とし、30分ほども見入ってしまいました。
いやぁ、素晴らしい眺めです。

K780→R311→R169→R168と来た道を辿り、本日の宿である和歌山県/川湯温泉に到着。
河原に設えられた宿の露天風呂にゆったりと浸かり、のぼせてくると目の前の清流・大塔川に足まで入って仁王立ち。
開放感炸裂、もはや何も言うことはありません。
暮れなずむ空を見ながら腹が痛くなるほど晩飯を食い、部屋に戻るとバタンキュー。
そのまま2時間ほど、果て寝をしてしまいました。

初夏のようだった昼の暑さが嘘のように冷え込んできた21時過ぎ、浴衣に雪駄で共同浴場露天風呂へ。
吊橋を渡って河原へと降り、真っ暗闇の中で独り静かに湯に浸かります。
聞こえてくるのはさらさら流れる川の声、瀬を揺がす河鹿の合唱、そしてシャウトするロックン・ロール。

・・・ロックン・ロール?

いつの間にやら、カップルと思しき二人連れが来ていました。
暗くてよくわかりませんが、「おぅ、ワシは入るでぇ。お前はどないすんねや。入らんのかいな?あつつつつっ!なんや、熱いやないか、コラ」と荒くれ口調の細身の彼氏と、「いや、アタシも入るよぉ」と言う恰幅の良い彼女。
その大きな彼女がぶら下げている小さなラジカセから、ロックン・ロールが流れているのです。
しかもロックなのに、何故か小さな音量。
河鹿の鳴き声にすら、完全に負けている始末。
全く以って、意味不明です(汗)。

明かりも無い真っ暗な露天風呂でしたが、失礼かと思って二人に背を向けて入っていました。
が、いい加減に熱くなってきたので出ようと思い振り返った刹那、不覚にも目にしてしまったのは「よっこらしょ」と言って先に上がろうとする彼女の後姿のシルエット。
いたたまれなくなった私はそそくさと浴衣を身につけ、「お先に失礼します」と言って足早に風呂を後にしました。
吊橋を渡りきったところで歩調を落とし、震える手で煙草に火を点けます。
深々と肺に吸い込み、ようやく落ち着きを取り戻した私の口を衝いて思わず出た一言。

「トドやがな、あんなもん・・・」

本日の走行距離は、317kmでした。

龍神街道付近.JPG
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