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みちのくGT[5]大規模林道を走り、三陸へ [drive/touring]

青森県三戸郡「五戸まきば温泉」の朝、5時半に起きて露天風呂に浸かる。

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昨日の時点では雨の予報が出ていたが、時折青空も覗くライトな曇り空といった按配だ。
朝飯を喰い、ホースを借りてB3を軽く洗ったらチェック・アウト。
毎日楽しくて仕方ないのだが、旅は早くも5日目を迎え、終わりが見えてきて一抹の寂しさを感じる。

北東北まで来ているのに、今回は八甲田も十和田も八幡平も走らない。
今日はこのGTの目的路のひとつでもある、岩手県の「八戸川内大規模林道」を走るのである。
クルマ仲間のM郎さんからその存在を聞き、どうしても走りたくなってツーリングのルートに組み入れた結果、八幡平などのメジャーなエリアを捨てることとなったのだ。
そのスタート地点である軽米を目指してR4→K42で南下、続くR340で岩手県に入り、林間のワインディングを楽しむ。
R395からK20へと左折、小さな看板を頼りに田んぼの中を右折して大規模林道に入った。

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完全舗装の2車線路、クルマも無ければ人もいない。
緩やかなアップ・ダウンとルーズなコーナーがひたすら続く大規模林道は、ツーリングマップルによれば国道や県道を挟みながら南北に100km以上も延びているのだと言う。
信じられない思いでアクセルを開けて走りまくり、K5に突き当たったところで林道はいったん終了。
R281で白樺林の平庭高原を抜けると、左手に大規模林道の次の入口が現れた。
この区間は、ひたすらの上り坂。
3速⇔4速、パワー・オンで誰もいない森の中をぐんぐんと駆け上がってゆく。
尾根筋に出るとパッと視界が拓け、袖山高原に飛び出した。
レスト・ハウスや風力発電機も建つ明るいスカイラインには涼しい風が吹き渡り、実に気持ちがいい。
ただしツーリングマップルによれば大規模林道はこの先で未舗装区間となるため、1.5車線の別ルートで山を下りることにした。

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R340を快走、R455との併用区間で右に曲がり、八戸川内大規模林道の最終区間へとアプローチ。
相変わらず交通量は皆無、路面も思ったよりなめらかで、文字通り自分の好きなペースで走りまくることができる。
K171を短く挟んで林道は高度を上げ始め、やがてを越えると壮大な風景が目の前に拡がった。
緑の深い山々がどこまでも連なり、ガード・レールで白く縁どられたアスファルトが魅力的なターンを繰り返しながら、下界へと続いているのだ。
ダウンヒルを開始するも、あまりの景色に思わず途中でUターンし、再び峠まで戻ってしまったほどである。
B3を停めてそんな絶景を眺めていると、タイヤ・サイドを削りながらスポーツ・バイクで下から上がってきたおにいさんが声をかけてくれた。
ちなみにこの広大な景色の中で存在を確認できる人間は、おにいさんと私の二人だけである(笑)。
八戸川内大規模林道は地元のライダー仲間では有名らしく、おにいさんもちょいちょい走りに来るのだそうだ。
彼は久慈で食堂を営んでいるとのことだが、「あまちゃん」人気で街には信じられないほど多くの観光客が来るのだと言う。
何だかんだで30分以上も楽しく話しこんでしまってから、互いの無事を祈って先に出発。
3速メインで極上のダウンヒルを存分に堪能し、R106にぶつかったところで林道はようやく終了した。
走破にまるまる半日を要したこの林道、大規模にも程がある(笑)。

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道の駅「やまびこ館」でコーヒーとパンのランチを摂り、R106からR340を南下。
しかしながらこの快適な国道を離れてK25へと右折し、川沿いの1-1.5車線路で暗い森の中を西に走ってゆく。
林道があんなに広いのに、県道がこんなに狭くていいのか?とも思う(笑)。

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しばらく走って左に折れると、今度は「川井住田大規模林道」だ。
DSCを緩められ、林間の2車線路を駆け上がってゆくB3。
この道は6年前に一度訪れており、久しぶりの再走を楽しみにしていたのだ。
尾根伝いに拡がる荒川高原は清清しい牧場地帯、遠くに霞む山々を見晴るかしながら気分よく走り続ける。
B3を停めて爽やかな風に吹かれていると、馬群の中から一頭の栗毛が人懐こい眼でこちらへやってきた。
しばし戯れてからリスタート、これまた誰もいないワインディングでK160との交点まで一気に駆け下る。

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民話の里・遠野に出るが、どこへも立ち寄らずそのまま東へ、またもや山の中へと分け入ってゆく。
ここから三陸方面へと向かうのにR283バイパス/仙人峠道路もK35も使わず、北上山地の稜線上を「スリーグリーンライン」と呼ばれる舗装林道でトレースしていくのだ。
この道は今日走った2本の大規模林道とは異なり、殆ど1.5車線レベルの幅員なのでペースは上がらない。
しかしながら、林間/草原/ウィンドファームと変化に富んだドライブが楽しめる、アドベンチャー要素も含んだおもしろい道だと思う。
稜線を後にして下り始めると、林道はタフな羊腸路となる。
サスペンションを一杯に使いながら右へ左へステアリングを切りまくり、ひたすら走り続けて大槌町に出た。

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今回のGTでは、2年半前の東日本大震災で大津波の被害に遭った三陸の沿岸部へ立ち寄ろうと決めていた。
自分に何ができるわけでもないのだが、三陸でガソリンを入れ、土産物を買い、飯を喰い、宿に泊まるのだ。
しかし実際に大槌の街を目の当たりにすると、単なる観光客に過ぎない自分が来て良かったのだろうか・・・との思いを振り払うことができなくなった。
一面に草が生い茂っているところは全て住宅が流された跡なのだろう、その間を土埃を立ててダンプ・カーが走り回っている。
カーナビで目的地としていたJR大槌駅は破壊されたプラット・ホームが残るだけで、駅舎も線路も無い。
鉄筋コンクリート造りの町役場はかろうじて外形をとどめているが、完全な廃墟と化している。
その前に献花台があったので、線香を上げて犠牲者の冥福と街の復興とを心から祈った。

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更地の中に、プレハブで営業しているコスモ石油があった。
ハイオク満タンを頼み、スタンドのオーナーおよびその奥さんと思われるお二人に話を聞かせてもらった。
私は震災前の大槌町を知らないのだが、流される前の街並みの様子や大津波の高さ、避難の状況などを伺うと、改めて被害の甚大さを思い知らされ、胸の詰まる思いがする。
自分は旅の途中で立ち寄っただけであることを告げると、それでも来てもらえるのはありがたいと言ってくれた。
そう言ってもらえることが、本当に嬉しかった。

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続いてR45で釜石に向かい、大渋滞のR283を我慢して西に向かう。
普段のツーリングなら渋滞する街中など絶対に走らないが(笑)、今回は職場への土産に「釜石ラスク」を買って帰ろうと決めており、その直営店に立ち寄ったのだ。
晩飯は宿ではなく地元の店で摂ることにしていたため、何を喰おうかと思案しながらR45を南下する。
すると道沿いに小さな洋食店「そらちゃんキッチン」を発見、迷わずB3を乗り入れ、地元の人たちで賑わう店内で肉汁タップリのハンバーグ・プレートを喰った。
久しぶりの旨い洋食に、大満足である。

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時刻は既に19時を過ぎており、チェック・インが遅れる旨を宿に連絡してからR45を走る。
思ったよりもクルマは少なく、更に山間部は登坂車線つきなので概ねマイペース走行が可能となった。
無料供用されている大船渡三陸道路で大船渡ICまで走り、暗闇のK9を快調に飛ばして、20時前に大船渡市綾里[りょうり]の「廣洋館」に到着。
ツインの部屋で荷を解き、大浴場で汗を流してから、浴衣姿で独りビールと洒落込んだ。

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本日の走行距離は、420km。
走行時間は7時間44分、平均速度は54.2km/hだった。

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Shima

この馬デブすぎませんか?
by Shima (2013-09-27 18:32) 

wata

Shimaさん、こんにちは。

競走馬じゃないんで、こんなもんじゃないでしょうか。
なかなか人懐っこくて、いいヤツでしたよ(笑)。

by wata (2013-09-27 21:18) 

wani

拝見していたら旅心が疼きまくって
来週は仕事を休んで旅に出ることにしましたw

まったく罪作りなブログです(失礼)


by wani (2013-09-28 08:58) 

kenzou

いやあ、5日目も相当な距離を走っていますねえ。山坂道を420kmですか、気が遠くなりそうです。
「岩手県の大規模林道」は「絶景と快走路カタログ」で知ってから気になっていましたが、写真を拝見して是非行ってみたいと思いました。

by kenzou (2013-09-28 09:23) 

wata

waniさん、こんにちは。

いやいや、私のせいにしてはいけません(汗)。
でも、私もwaniさんのBlogを拝見しているうちに、走りに行きたくなったことが何度となくありますからねぇ。
ま、ここはひとつお互いさまと言うことで(笑)。
来週の旅日記、楽しみにしています!

by wata (2013-09-28 15:28) 

wata

kenzouさん、こんにちは。

420kmと言っても、その殆どが誰もいない快走路をマイペースで走っていただけですから、特に疲れたりはしませんでしたよ。
例えば渋滞5kmのほうが、快走420kmよりも遥かに疲れますよね(笑)。
岩手の大規模林道、kenzouさんも是非走ってみて下さい。
あまりに大規模で笑っちゃいますから、ホントに(汗)。

by wata (2013-09-28 15:39) 

tamu

wataさん、こんばんは!!

ツーリングマップル東北2013を開いて大規模林道を「指で」辿ってみて驚きました。
もちろん自分のB3では辿れないと思いますが(汗)

九州在住ですが、3.11当日、福島第一原発から20km程のところにいましたし、その後も復旧の一環で大槌に隣接する釜石や石巻、相馬への中期出張を経験しました。
その後、気にはなっていたのですが、ブログを拝読させていただいて、再び色々考えるきっかけを与えていただきました。

もしかするとツーリングマップルは実際に役に立つかもしれません。


このエントリとは直接関係ありませんが、先週T社のAという8人乗りミニバンで「こめ米ロード」走りましたよ(笑)
by tamu (2013-09-29 19:58) 

wata

tamuさん、こんにちは。

「こめ米ロード」を走られたようで、何よりです(←何よりなのか?)。
しかし、お住まいが九州なのに最新のツーリングマップル東北版を所有しているってのは素晴らしすぎます。
「九州から東北ツーリング記」、楽しみにしています(笑)。

tamuさんは、実際に現地で復興のお仕事に携わっていたんですね。
本当にご苦労さまです。
私は旅の途中で立ち寄っただけなので、記事にするのもお恥ずかしい限りです。
それでも自分なりにかなりの衝撃を喰らいましたし、この震災を忘れちゃいけないと改めて思いました。

by wata (2013-09-29 23:03) 

TOSSHY

こんにちは。いつも楽しく拝見しています。僕もつい一週間前に東北をGTしておりました。三陸海岸も走りました。やはり実情を見ると、ボランティアでもない単なる観光客が来て良いものか困惑してしまいますね。復興のダンプカーがたくさん走っていました。しかし文中にあった「来てもらえるだけでもありがたい」という言葉を信じたいと思います。
釜石ラスクは有名なんでしょうか?僕もR283を走りましたが気づきませんでした(笑)
by TOSSHY (2013-10-03 11:57) 

wata

TOSSHYさん、こんにちは。

ご自身の東北GT、存分に楽しまれたものと拝察しております。
しかし仰る通り、三陸沿岸部は震災から2年半が経っても、躊躇なく訪れることのできる状況にはありませんよね・・・。
でも、同じ職場にいる大槌出身の人にそんな話をすると、「是非行ってやってくれ」と言うんです。
なので、これからも謙虚な気持ちを忘れずに訪れようと思っています。

釜石ラスクが有名なのかどうかはわかりませんが、ホタテ味のラスクなどもあってとても旨いのだそうです。
ただ、土産用に買った個数が職場の人数ギリギリで、自分は喰うことができませんでした(涙)。

by wata (2013-10-03 20:54) 

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