紀伊半島ツーリング[1] [drive/touring]
夜の東名高速道路をひた走る、BMW ALPINA B3。
夕刻に出立、夜のうちに500kmの移動を済ませ、翌朝から早春の紀伊半島を走りまくる算段である。
御殿場-裾野IC間で激しい雨に見舞われたものの、沼津から先の夜空はすっかり晴れわたっている。
大接近中の木星と金星とをフロント・スクリーンに映しながらの、ナイト・クルーズ。
まだ時間も早いためかトラフィックは少なくない、場所によっては70km/hレベルのノロノロ運転を強いられる。
が、走っているうちに流れは徐々に良くなり、愛知県に入る頃には概ねマイペース走行を取り戻す。
全開走行中と思しきライト・ブルーのフィアット・チンクエチェントと別れ、豊田JCTから伊勢湾岸自動車道へと舵を切る。
ハイ・ビームをチラつかせつつ6速4000rpmで走り続けるうちに、カーナビの到着予想時刻表示がどんどん早まっていく。
まだ歌姫だった頃のマライア・キャリーのファルセットを聴きながら伊勢自動車道をカッ飛ばし、23時過ぎに三重県/勢和多気ICでアウト。
近くのビジネス・ホテルにチェック・イン、シャワーを浴びてベッドにもぐり込んだ。
-----
翌朝は北風が強いながらも、青空メインのいい天気。
何度か訪れている紀伊半島、いつもは山間のルートを辿るのだが、今回は海岸線も走りながら最南端の潮岬へと向かうつもりだ。
モーニング・サービスをタップリと喰ってから出発、B3にもハイオク・ガソリンを満たし、K13で東に出てからK169で南下を開始する。
道はイイ感じのワインディングなのだが、しかし予想以上にクルマが多く、ペースが上がらない。
よく考えたら今は平日の通勤時間帯、仕事へと向かう人々の中に紛れ込んだ私こそが異端なのだ・・・。
この状況から脱却すべく、次のY字路で殆ど全てのクルマが左へ行くのを確認してから、タイヤを鳴らして思いっきり右折。
一気に誰もいなくなったK719は、ルーズなコーナーの続くカントリー・ロード。
アクセルを開け、ステアリングを切り、B3本来の走りを存分に楽しむ。
R260に入って少し走ったところで、缶コーヒー・ブレイク。
一日に数本だけの小さなバス停、周辺は畑の中に民家が点在するたいへんのどかな風情である。
ツーリングマップルで確認してみると、ここから幹線道路/R42との交点までの約50kmは、複雑な海岸線に沿って垂涎モノのワインディングが続いている模様。
通るクルマも極めて少なく、素晴らしいドライビングが楽しめそうだ。
コーヒーを飲み終えてB3に乗り込み、イグニッション・オン。
一瞬の後、轟音と共にE4/6型3.3リッター直列6気筒DOHCエンジンに再び火が入
・・・あれ？
エンジンが、かからない。
セル・モーターは勢いよく回るのだが、何度やっても始動に繋がらないのだ。
しばらく間をおいてからリトライしてみても、ダメ。
ガソリンがエンジンまで来てないんじゃないかと考えて、フューエル・ポンプのフューズをチェックしてみるが、切れてない。
マジかよ・・・。
仕方なく、契約している保険会社のロード・サービスにヘルプを申し出る。
何でそんなところにいるのよ的なトーンのオペレーターに何とか現在地を説明し、救援を待った。
沈黙するB3を積み、R260を走るセフティ・ローダー。
予想通り、海の見える素晴らしいワインディングなのだが、走れないのでむしろ肚が立つ。
現場でチェックしてくれた修理工場のおにいちゃん曰く、セルを回すと初爆が来てるので、燃料系のトラブルでは無く点火系かもしれないとの由。
とりあえず工場まで運んで確認してみますけど、アカンようやったら伊勢にあるディーラーまで持っていきますわ、と言うことになる。
水中花のシフト・ノブに昭和の香りを感じつつおにいちゃんと楽しく会話をさせてもらいながらも、今回の旅はここで終わることになるかもしれないな･･･と、覚悟を決めた。
1時間ほどかかって、伊勢柏崎の工場に到着。
ローダーから降ろす際、おにいちゃんがB3に乗り込んでイグニッションをひねる。
クゥゥゥゥ･･･ズロロロン！
「おぉ、さすがアルピナ、エエ音しますねぇ！･･･って、普通にかかりましたやん、エンジン」
「あ･･･（汗）」
おにいちゃんと交代、半信半疑でエンジンを切って再度キーを回すと、B3は何事も無かったかのように始動し、低く安定したアイドリングを続けている。
何度試してみても不具合の兆しすら感じられず、ロード・サービスを呼んでしまったことがだんだん申し訳無いような気になってくる46歳。
社長さんも出てきてくれ、念のためディーラーまで運びましょうかと言ってくれるのだが、何だかよくわからないけど自然に治癒したものと判断。
何かあったら遠慮なく連絡して下さいね、お気をつけて･･･と言う社長さんとおにいちゃんの言葉に温まった気持ちを胸に抱き、2時間ほどのロスタイムで紀伊半島の旅を再開した。
頼んだぞ、B3！
･･･つづく。
夕刻に出立、夜のうちに500kmの移動を済ませ、翌朝から早春の紀伊半島を走りまくる算段である。
御殿場-裾野IC間で激しい雨に見舞われたものの、沼津から先の夜空はすっかり晴れわたっている。
大接近中の木星と金星とをフロント・スクリーンに映しながらの、ナイト・クルーズ。
まだ時間も早いためかトラフィックは少なくない、場所によっては70km/hレベルのノロノロ運転を強いられる。
が、走っているうちに流れは徐々に良くなり、愛知県に入る頃には概ねマイペース走行を取り戻す。
全開走行中と思しきライト・ブルーのフィアット・チンクエチェントと別れ、豊田JCTから伊勢湾岸自動車道へと舵を切る。
ハイ・ビームをチラつかせつつ6速4000rpmで走り続けるうちに、カーナビの到着予想時刻表示がどんどん早まっていく。
まだ歌姫だった頃のマライア・キャリーのファルセットを聴きながら伊勢自動車道をカッ飛ばし、23時過ぎに三重県/勢和多気ICでアウト。
近くのビジネス・ホテルにチェック・イン、シャワーを浴びてベッドにもぐり込んだ。
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何度か訪れている紀伊半島、いつもは山間のルートを辿るのだが、今回は海岸線も走りながら最南端の潮岬へと向かうつもりだ。
モーニング・サービスをタップリと喰ってから出発、B3にもハイオク・ガソリンを満たし、K13で東に出てからK169で南下を開始する。
道はイイ感じのワインディングなのだが、しかし予想以上にクルマが多く、ペースが上がらない。
よく考えたら今は平日の通勤時間帯、仕事へと向かう人々の中に紛れ込んだ私こそが異端なのだ・・・。
この状況から脱却すべく、次のY字路で殆ど全てのクルマが左へ行くのを確認してから、タイヤを鳴らして思いっきり右折。
一気に誰もいなくなったK719は、ルーズなコーナーの続くカントリー・ロード。
アクセルを開け、ステアリングを切り、B3本来の走りを存分に楽しむ。
R260に入って少し走ったところで、缶コーヒー・ブレイク。
一日に数本だけの小さなバス停、周辺は畑の中に民家が点在するたいへんのどかな風情である。
ツーリングマップルで確認してみると、ここから幹線道路/R42との交点までの約50kmは、複雑な海岸線に沿って垂涎モノのワインディングが続いている模様。
通るクルマも極めて少なく、素晴らしいドライビングが楽しめそうだ。
コーヒーを飲み終えてB3に乗り込み、イグニッション・オン。
一瞬の後、轟音と共にE4/6型3.3リッター直列6気筒DOHCエンジンに再び火が入
・・・あれ？
エンジンが、かからない。
セル・モーターは勢いよく回るのだが、何度やっても始動に繋がらないのだ。
しばらく間をおいてからリトライしてみても、ダメ。
ガソリンがエンジンまで来てないんじゃないかと考えて、フューエル・ポンプのフューズをチェックしてみるが、切れてない。
マジかよ・・・。
仕方なく、契約している保険会社のロード・サービスにヘルプを申し出る。
何でそんなところにいるのよ的なトーンのオペレーターに何とか現在地を説明し、救援を待った。
沈黙するB3を積み、R260を走るセフティ・ローダー。
予想通り、海の見える素晴らしいワインディングなのだが、走れないのでむしろ肚が立つ。
現場でチェックしてくれた修理工場のおにいちゃん曰く、セルを回すと初爆が来てるので、燃料系のトラブルでは無く点火系かもしれないとの由。
とりあえず工場まで運んで確認してみますけど、アカンようやったら伊勢にあるディーラーまで持っていきますわ、と言うことになる。
水中花のシフト・ノブに昭和の香りを感じつつおにいちゃんと楽しく会話をさせてもらいながらも、今回の旅はここで終わることになるかもしれないな･･･と、覚悟を決めた。
1時間ほどかかって、伊勢柏崎の工場に到着。
ローダーから降ろす際、おにいちゃんがB3に乗り込んでイグニッションをひねる。
クゥゥゥゥ･･･ズロロロン！
「おぉ、さすがアルピナ、エエ音しますねぇ！･･･って、普通にかかりましたやん、エンジン」
「あ･･･（汗）」
おにいちゃんと交代、半信半疑でエンジンを切って再度キーを回すと、B3は何事も無かったかのように始動し、低く安定したアイドリングを続けている。
何度試してみても不具合の兆しすら感じられず、ロード・サービスを呼んでしまったことがだんだん申し訳無いような気になってくる46歳。
社長さんも出てきてくれ、念のためディーラーまで運びましょうかと言ってくれるのだが、何だかよくわからないけど自然に治癒したものと判断。
何かあったら遠慮なく連絡して下さいね、お気をつけて･･･と言う社長さんとおにいちゃんの言葉に温まった気持ちを胸に抱き、2時間ほどのロスタイムで紀伊半島の旅を再開した。
頼んだぞ、B3！
･･･つづく。
2012-03-21 20:52
nice?(12)
コメント(20)
おっ、無事帰還しましたか。
…これでミトスも残りわずかですね（笑
by goyan (2012-03-21 21:23)
故障はいただけませんが、こういう人情は旅の醍醐味ですねぇ。続きを楽しみにしてます。
by acatsuki-studio (2012-03-21 21:49)
goyanさん、こんにちは。
残念ながら･･･。
ミトスは、未だバリ山です（笑）。
by wata (2012-03-21 22:01)
acatsuki-studioさん、こんにちは。
はい、仰るとおりだと思います。
独りの旅先で暖かい言葉をかけてもらえると、本当に嬉しいんですよね。
今回の旅は、いつもよりも更にそう思いました。
by wata (2012-03-21 22:10)
無事のご帰還ですね。
三重県と云えば"長島スパーランド"くらいしか思いつかない地です。
…つづく…を楽しみにするとともに〆は是非Movieで！
by toriton (2012-03-21 22:27)
こんばんは。もうご帰還なのですね。
今週中ずっと走られているのかと思っていました。
夜に移動して、深夜チェックイン可能な宿泊っていう手もあるんですね。快走路ともども参考にさせていただきます(^^
続きの更新も楽しみにしております~
by KeiM. (2012-03-21 22:50)
toritonさん、こんにちは。
「長島スパーランド」って、「長島スーパーランド」の間違いじゃないかと長らく思っていました。
Nagashima Spa Land、つまり温泉遊園地ってことなんですね（汗）。
ちなみに今回、ムービーはございません。
ご了承下さい（伏）。
by wata (2012-03-21 22:55)
KeiM.さん、こんにちは。
さすがにこの年度末に一週間の休みは取れません･･･。
夜間の移動＆チェック・イン、いわゆる「前泊」スタイルは今回が初めてだと思います。
このパターン、ショート・ツーリングに使えると思いました。
夜通し走ってそのまま昼間のドライブに突入ってのは、もはや年齢/体力的にキツいんですよ（涙）。
by wata (2012-03-21 23:04)
自然治癒ですか。
さすがアルピナ、人間臭いところも残しております！
by s_saigo (2012-03-22 09:10)
エンジンも一休みしたかったのかな？（藁）
by 一孤人 (2012-03-22 10:38)
うーむ、どうやらクランク角センサーあたりが、
やばそうな・・・・
ご無沙汰しております。B3S共々、なんとか元気にやっております。
ログインできなくなっちゃいました(涙、パスワード忘れた)
何時も楽しみにしております。ご無事でなによりです～
by アル(aluu) (2012-03-22 11:09)
こんにちは
トラブル、自然治癒とのことで何よりです(^^)
おっしゃるとおり、旅先で暖かい人情に触れるととってもステキな気分になりますね♪
実はワタシも、17日ちょうどこのあたりにいまして(^^; 横浜から高速を使わず熊野までの道中、R42を通りました（疲）
by zdm1929 (2012-03-22 11:47)
Wataさん、
無事自然治療で済んで良かったですね！！安心しました！
例のおにいちゃんと同感です、WataさんのB3は非常にいい音を奏でていると思います！
夜出発→ビジネスホテル一泊→朝からツーリング→その日の夜に東京に戻るが私の今までの旅のスタイルでした！最近はしてませんが・・・
金曜の夜出て、土曜の夜中に帰って、そして日曜の渋滞を避ける事が出来るので、長年そのスタイルで出かけてました。
Wataさんのブログを拝見して、再度このスタイルで行こうかと思いました。
by Milou (2012-03-22 14:35)
前泊、いいプランですよね。
早起きして動き回って昼間にはオネムよりよっぽど。＾＾
今回はせっかく計画的にされてたのにトラブルは残念でしたね・・・
by mitton (2012-03-22 15:51)
s_saigoさん、こんにちは。
「自然治癒」と言ってしまっていいのかどうかわかりませんが、他に適当な言葉が見つかりませんでした。
以降、旅の終わりまで再発することはありませんでしたので、やっぱり「自然治癒」でイイのかなと思ってます（笑）。
by wata (2012-03-22 20:36)
一孤人さん、こんにちは。
はい、そうかもしれませんね（笑）。
だったら、オイル投入口からコーヒーでも飲ませてやれば良かった（←壊れます）。
by wata (2012-03-22 20:37)
アルさん、こんにちは。
この記事の内容だけで「クランク角センサーあたりが、やばそうな・・・・」と推定してしまうとは、さすがですね。
再発もせず、調べてもいないので原因は未だ不明なのですが、ついでの時にでもディーラーで診てもらおうかと思っています。
今もB3Sに乗られているんですね！
ログインできなくてもBlogは見れますし、コメントもできますので、引き続き遠慮なくお越し下さい（笑）。
by wata (2012-03-22 20:39)
zdm1929さん、こんにちは。
その後もエンジンを切るたびにヒヤヒヤしていましたが、結局のところ杞憂に終わりました。
ロード・サービスの方に親切にしてもらったこともあり、今回のトラブルはむしろ良い思い出になったなぁと感じています。
ところで「横浜から高速を使わず熊野まで」って、いったい何の苦行なのでしょうか・・・。
私だったら距離はともかく、途中の大都市を抜けることを考えた瞬間に、熊野詣は断念です（涙）。
by wata (2012-03-22 20:40)
Milouさん、こんにちは。
私のB3、爆音マフラーを修理しマウント類を一新してから明らかに音が太く大きくなりました。
こんなんでいいのか？と思うこともしばしばですが、こんなんでもいいや、と納得しています（汗）。
夜に走るのはあまり好きでは無いのですが、短い休日を有効に活かす手段として私も「前泊」はアリだなと思いました。
金曜前泊＆土曜泊の「2泊2日」であれば、土曜日は現地で丸一日走りまくりですからね（笑）。
by wata (2012-03-22 20:40)
mittonさん、こんにちは。
おっと、北海道からも前泊プラン賛同の声をいただきました（笑）。
今回のように日程が限られており、かつ走りたいエリアが遠くにある場合などは最適だと思います。
旅は必ずしも計画通りとはなりませんし、それがまた旅のおもろいところだと思っています。
このトラブルで2時間ほどロスしたのですが、その後もB3とオッサンは、想定外の展開に翻弄されることとなるのです（←そうなのか？）。
by wata (2012-03-22 20:42)