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GT2011北海道[5]:秋雲 [drive/touring]

早いもので、旅も半ばである。
5日目のこの日は中標津から根室へと走り、阿寒湖方面へと向かった。

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中標津の朝は、北海道上陸4日目にして待望の晴天っ!
気温は8度、B3は夜露に濡れそぼっており、放射冷却が炸裂する典型的な秋の朝である。
嬉しい、嬉しすぎる・・・。
6時過ぎ、今日も朝食を摂らずに宿を発った。
サイド・ウィンドウを開け放つと、キリッと冷えた風がキャビン内に渦を巻く。
寒いっちゃー寒いのだが、寒さよりも気持ち良さが圧倒的に勝っている。
行き交うクルマもバイクも無いまま中標津空港の脇を通り、直線道路で有名な北十九号線を経由して開陽台へのアプローチを駆け上がった。

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駐車場に出た途端、青い空と緑の大地から成る強烈なパノラマが展開する。
B3を駐め、展望台まで歩く。
いやはや、すんごい景色である。
ここ開陽台は標高わずか270mしか無いくせに、ほぼ全周に亘り地平線から遠く海に浮かぶ国後島まで見えるのだ。
ライダーの聖地としてつとに有名ではあるが、なるほどそれだけの価値がある場所だ・・・とつくづく思う。
思わず飛び跳ねそうになる自らのテンションをかろうじて抑えつつ、根室方面へと向かうべくB3をリスタートさせた。

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D8を南下する。
今日は三連休明けの火曜日、市街地では元気に登校する子供たちを多く見かけた。
通勤と思しきクルマも多数走っているが、街を出れば相変わらず80km/hレベルのペースがありがたい。
別海[べつかい]を過ぎてR243にスイッチするとそれらのクルマもいなくなり、大草原の中をマイペース走行が加速する。
空は再び雲に覆われ始めたが、今日は雨に降られることはないだろう。
そのまま厚床[あつとこ]まで走り、セイコーマートで朝食に握り飯を買った。
店頭の駐車場で東京のナンバーをつけたアメリカン・バイクのライダーに話しかけ、二人して朝飯を喰いながらそのまま旅談義となる。
彼は数ヶ月前に北海道へ移住してきたとのこと、少し落ち着いたので改めて道内を旅しているのだそうだ。
恐らくは同年代、なんとなくワケアリ感の漂う男前である。
じゃぁケーサツに気をつけてと互いに笑いつつ、彼はR44で、私は道道で最東端を目指すべく走り出した。

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D1127で初田牛[はったうし]に出、D142で東進する。
これがまたとんでもない快走路で、6速メインのハイウェイ・レベル・クルージングが延々と続いた。
途中で落石岬に立ち寄るもイマイチ、すぐにD142に復帰してアクセルを開け、根室の街を過ぎ根室半島北岸をD35で岬へと走る。
左手に知床半島や国後島、右手には果てしない原野が拡がる素晴らしい道である。
極めていい気分でB3を走らせ続け、北海道最東端の納沙布岬[のさっぷみさき]に到着した。
目の前の海に浮かぶ歯舞群島[はぼまいぐんとう]は何も無さそうな小さな島々ではあるものの、こんなに近くまでロスケに武力占拠されているのかと思うと改めて肚が立つ。
根室へと戻るルートは半島南岸としたが、こちらは人家も多く、走るならやはり北ルートだと思った。

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根室からは取締強化路線のR44は使わず、往路と同様D142をカッ飛ばす。
初田牛から先は「北太平洋シーサイドライン」と呼ばれ、左に太平洋を見ながら抜群のシーニック・ドライビングが炸裂する。
海沿いの丘陵に沿って伸びる道道は交通量も極めて少なく、B3の刻むビートを感じながら走り続ける爽快感は他の何物にも換え難い。
ひたすらノンストップで走り続けたため、小休止しようと霧多布岬に立ち寄った。
B3を駐め、曇り空の小路を太平洋に向かって歩く。
先端が断崖となって海に墜ちる姿が実に風情のあるいい岬ではあるが、例によって歩き疲れたことは言うまでも無い(涙)。
D123で、再び西に向かって走り出す。
D808「MGロード」や琵琶瀬展望台にも立ち寄ってみたものの、いずれもあまりグッとくるものは無かった。
やはりB3を走らせているほうが、圧倒的に楽しいと思う。

正午を過ぎ、腹が減りまくる。
何か喰わなきゃな~と考えながら道道を走り続け、厚岸[あっけし]の街まで出たところで思い出した。
そう、厚岸と言えばカキである。
そこで道の駅「厚岸グルメパーク」で名産のカキでも喰おうと立ち寄ったが、本日定休日とのことで施設内に立ち入ることさえできない。
道の駅にも定休日があると知って、大いに悲しんだ。
ならば、と言うことで厚岸駅前のカキめし屋に入ると、店のおねえさんは一人で数十人分の弁当づくりに大わらわであり、とてもオーダーできるような状況には無い。
では駅の売店でカキ関係の駅弁を・・・って、そんなもんひとつも売ってないじゃん。
カキは諦めて、空きっ腹を抱えたままD14で内陸方面へとB3を走らせた。
・・・そもそも、カキもあんまり好きでは無いのだ(汗)。

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大草原や牧草地帯を緩いカーブで抜けていくうちに、いつの間にかダーク・グレイの雲は消え、青空が少しずつ戻り始める。
沿道には何も無い、ひたすら走り続けるこの素晴らしい感覚は北海道だけでしか味わうことができない。
空腹に耐えかねて中チャンベツのセイコーマートでサンドイッチとコーヒーを買い込み、その先の草っ原にB3を駐めさせてもらい、フォールディング・チェアを出して即席オープン・カフェと洒落込んだ。
青空と溶け合うように、白い雲がゆっくりと流れている。
気温は17度、秋の陽射しは柔らかく、そよぐ風は爽やかだ。
いやはや、実に気分がいい。

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標茶[しべちゃ]からは、R274で西に向かう。
もちろん完全2車線路、適度なアップダウンとソフトなコーナーが続くロング・カントリー・ロードだが、交通量はほぼ皆無。
4枚のウィンドウとスライディング・ルーフを開放、風速30mの風に思わず独り笑い、頭がパーになるかと思った。
未開通区間を迂回してR240へと右折、トラックやバス、ファミリーカーをブッコ抜きながら北上する。
一大観光地である阿寒湖の周辺はやはり混雑していたものの、連休を過ぎて落ち着いた雰囲気が漂っている。
青空に映える雄阿寒岳、風に揺らめきさざめく湖面。
心洗われる、美しい景観であった。
更にR241を少し走って脇道に入り、オンネトーへ。
売店のあるスペースは観光バスやオッサン&オバハンに占拠され酷い有様だったが、手前のパーキング・ロットは静かなものである。
森に囲まれた小さな湖は、グリーンともブルーともつかない不思議な色合いを見せていた。

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オンネトーから少し戻り、本日の宿「オンネトー温泉 景福」に到着した。
旅館では無く民宿のカテゴリーに入るのであろう、部屋は簡素で夕食も決して豪華では無く、浴室には石鹸やシャンプーの備えも無い。
しかし、温泉は最高である。
内湯も然ることながら、青白色の湯が湛えられた大きな露天風呂はぬるいがその居心地は素晴らしい。
食前食後にタップリと浸かり、日帰り客も含め同浴の人たちとの会話も弾んだ。
東京から来たソロ・ライダーのおにいちゃんとは、温泉情報などを交換した。
今夜は阿寒湖のライダーハウスに泊まり、明日は道東を目指すと言う。
北海道を毎年旅していると言う埼玉から来たおじさんは、今日で上陸3週間目。
独りで自由に周るハズが、今回は姪御さんが勝手について来て困っているのだそうだ。
賑やかな関西弁のおねいちゃん3人は、キャンピングカー1台とバイク1台とで一緒に走っているとのこと。
風呂の照明を消し、夜空に拡がる星を眺めながら旅の話に花が咲く。

今日はたくさんの旅人と話をすることができた。
皆それぞれのスタイルで、北海道の旅を大いに楽しんでいる。
自身のグランド・ツーリングも、その旅程は残り半分を切った。
事故らず壊さず捕まらず、最後まで悔いの無いように楽しく走ろう。

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9月20日の走行距離は、450km。
走行時間は6時間40分、平均速度は67.5km/hだった。

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つくばの松

いや~最高ですね・・!

wataさんのGTブログは読者を旅へ引きずり込み最高に気持ちよくさせ、その後、羨ましさから最高にストレスが溜まります・・・
よって、読むのに勇気がいります?

・・・・とにかく最高です(笑)
by つくばの松 (2011-10-06 20:17) 

wata

つくばの松さん、こんにちは。

引き続きご覧いただき、ありがとうございます。
ホント、励みになります。
読んでくださる方にストレスを与えるBlogってのは如何なものかと思われますが(汗)、あと数回、GTの記事が続きます。
おヒマでしたら、どうぞおつき合い下さい!

by wata (2011-10-06 22:02) 

M郎

阿寒湖に行ったなんて、あかん子・・・。
直線ばっかりでタイヤ、減ってませんね。
意外に長持ちするかも。
by M郎 (2011-10-06 22:37) 

パンサー

こんばんわ。
行きましたね~北十九号線 遠くから見ているとものすごく
広大でまるで、飛んでしまいそうな雰囲気でになります。
いざ、走ってみるとそうでもないんですが・・・

セイコーマートがお気に入りですね?多すぎなんですよね。
でも、結構レア商品もありますね。
セイコーマートの会員カードは所持しているんですね!

次も楽しみにしております。

by パンサー (2011-10-06 23:02) 

wata

M郎さん、こんにちは。

>阿寒湖に行ったなんて、あかん子・・・。

・・・・・・。

さて(流)、確かに直線ばかりでタイヤはキュウとも言ってません。
いや、ワインディングでもタイヤが減るほど飛ばしませんから。
今回は、20,000kmぐらいはイケるんじゃないかと(←イケないと思う)。

by wata (2011-10-06 23:43) 

wata

パンサーさん、こんにちは。

北十九号線はかなり有名ですが、私はこの1枚目の写真の場所に来るまで気がついていませんでした(汗)。
それにしても、北海道にはビックリするほどのストレートがあちこちにありますよねぇ。

せっかく北海道に来たのだからと言うことで、コンビニはセイコーマートと決めていました。
最初のセイコマで「カードはお持ちですか?」と聞かれた時に、思わず作ろうかと思っちゃいましたよ(笑)。

by wata (2011-10-06 23:49) 

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