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GT2011北海道[4]:先導 [drive/touring]

グランド・ツーリングは4日目となった。
網走から知床半島を横断し、内陸部へと走る。

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5時にセットしたアラームが鳴る直前、勝手に目が醒めた。
窓の外、空は今日も灰色だが雲は高く比較的明るい朝である。
気温は15度、露天風呂で身体を温めて身支度を整える。
網走観光ホテルは二食つきのプランだったが、朝食のバイキングが始まる前にチェック・アウトした。
今回のGTでは、早朝から走るべく朝食抜きとした宿が多いのだ。
しかしB3は連日の雨で泥まみれ、おまけに夜半の風雨でわけのわからない小さな花びら的なモノがボディ・パネルの一面に付着している。
そこで駐車場のホースを借り、本GT初の水洗いを敢行した。
水だけでは落ちない意味不明な汚れも多々残ってはいるのだが、ちょっと離れればキレイに見え、実に結構である。
大いに気分を良くし、サイド・ウィンドウを開け、寒いくらいの風を受けて走り出した。

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本来ならここから美幌峠[びほろとうげ]を経由して屈斜路湖へと向かう予定だったのだが、朝方にケータイでチェックした美幌峠のライブカメラ映像は、霧で真っ白。
そこで、昨日の大雨でパスした能取岬[のとろみさき]へと向かうことにした。
R39→R238と戻り、能取湖を左手に見ながらD76を快調に走る。
以前来たときには確かダートが残っていたと思うのだが、今はすっかり舗装された快走路となっていた。
小さな森を抜けた先、草原の中をオホーツク海へと続く岬へのアプローチ。
その景観は本当に素晴らしく、思わずおぉっ!と声を上げてしまう。
パーキングにB3を駐め、灯台を見るベンチまで独り歩く。
潮風に吹かれながら、朝食の代わりにホテルが持たせてくれた握り飯を喰った。
実に気分がいい。
質素極まりないが、満足度はホテル自慢のバイキングよりも上なんじゃないかと言う気がした。

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網走の街を通り抜け、R244を東に走る。
クルマはそこそこ走っているが、全般的に80km/h前後で流れているため特段の痛痒は感じない。
直線だらけで見通しも良く、遅いクルマが前を塞いでも安全にブッコ抜くことができる。
斜里[しゃり]を過ぎ、R334を離れて真っ直ぐな坂を上っていく。
その先から下を見れば、アップダウンを繰り返しながら道が一直線に果てしなく延びていた。
オロロンラインと言いエサヌカ線と言い、北海道には仰天するストレートがあちこちにある。
この風景も他では観られないよなぁと思いつつ、R334に復帰して知床半島へと入ってゆく。

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ところが、素晴らしい眺めの快走路で先行車をブッコ抜きまくって快走を続けているうちに、あろうことかミニパトの60km/h先導が始まってしまった。
止むを得ず後ろにつき、地域のパトロールで走ってるんだろうからそのうち脇道に逸れるだろ・・・な~んて思っていたのだが、ちっともその状況は変わらない。
そう、そもそもこの付近には、脇道も無ければ立ち寄るべき集落も無いのである。
次の町ウトロまではまだ20km近くあり、そこまでこの屈辱的な隷属状態が続くのは確実であろう。
仕方ない、路肩に停めて少し間を空けるか・・・と思ってふとバック・ミラーを見やると、先ほど激抜きしてきたファミリー・カーやバス、トラックなどが長蛇の列。
うー、自らがブッコ抜いてきたこの集団をわざわざ前に行かせてその尻につくのは、愚行以外の何物でも無いじゃないか。
んもー、肚立つなぁ(涙)。

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と言うことで、ミニパトと低速車集団をやり過ごすべく、あっさりと通過するはずだったオシンコシンの滝を見学することに決定。
ベタベタの観光名所は休日とあってか大混雑、いつもならそんな場所には絶対に立ち寄らないのに、駐車待ちの列に並んでいる自分が信じられない。
何とかB3を駐め、人の間を縫って滝の間近まで歩き、見学。
この滝は旧道を登って上から見るほうが好きなのだが、この混雑っぷりじゃ上も同じような状況だと思われるし、この先の知床五湖付近も推して知るべしであろう。
そんなことを考えつつトイレに立ち寄り、ミニパト渋滞の解消した国道に戻ってアクセルを開けた。

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道東ドライブのハイライト、知床横断道路
峠まで続く幅員タップリのストレートと高速コーナーを、5速メインで爽快に駆け上がっていく。
いやー、ホントに気持ちがいい。
で、最高の気分で知床峠に到着すると、外はものすごい風でビックリ。
気温は8℃、手はかじかんで痛いほどだ。
目の前に聳えているはずの羅臼岳は残念ながら雲に閉ざされていたが、西側に目を転じると根室海峡の先に浮かぶ巨大な国後島を観ることができた。
日本の国土なのに、旧ソ連の武力侵攻で今もロシアに不当に占領されたままの北方領土。
何とかならんのか・・・との肚立たしい思いを胸に、寒風吹きすさぶ知床峠を後にした。
コーナーがややタイトになる羅臼側の空も曇ったままだが、思いのほか遠望が効く素晴らしいダウンヒル。
ちなみに私ごときのペースではAD08はキュウとも言わず、DSCも黙したままである。
今回のグランド・ツーリングで初めてのワインディング・ランを、思う存分堪能した。

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羅臼に出る手前に「熊の湯」と言ういい露天風呂があるのだが、駐車場にはたくさんのバイク、クルマ、そして人。
即座に見限って、D87で知床半島の東岸を北上する。
この先には、大好きな波打ち際の露天風呂「セセキ温泉」があるのだ。
・・・が、潮が満ちており入浴不可(涙)。
そこでさらにその先、道道が行き止まりとなる手前にある「相泊温泉」に、初めて寄ってみた。
以前は小屋がけだったのがむき出しになっており、個人的にはこっちのほうが開放感Maxで嬉しい限りである。
深い湯船にトップリと浸かれば湯温もちょうど良く、消波ブロック越しながら国後を望むロケーションも最高。
いやいや、本当に来て良かった。
先客は一人、三重県から来たと言うおじいさん。
8月1日に上陸し、軽トラで車中泊をしながら道内を周っているとのこと。
帰路は10月中旬と言うから実に二ヵ月半、文字通りのグランド・ツーリングである。
素晴らしい大先輩に敬意の念を抱きつつ、旅の無事を祈って温泉を後にした。

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腹が減ったので立ち寄ろうとした道の駅「知床・らうす」は大混雑、諦めて近くのセイコーマートでサンドイッチとコーヒーを買う。
どこか景色のいいところで喰おうと思いつつ国後島を左手にR335を南下するが、走ってるだけで景色がいいことに改めて気づき、のんびりと走りながら喰った。
ここから今朝行くはずだった屈斜路湖方面へ向かうこととし、カーナビをセットしたら所要時間は約3時間だと言う。
そんなにかかるわけねぇだろボケ、と低く呟き、怒涛のストレート・ドライビングが始まった。
直線道路をD1145D975D775と結び、大草原を、林間を、5速⇔6速で突っ走る。
路面は多少荒れてはいるものの、B3のサスペンション・システムはそれをまったく意に介さず、抜群のロード・ホールディング性能を見せつける。
D150からD885でもハイペースを保ち、それなりの速度で走っている先行車輌を情け容赦なく抜き去ってゆく。
R243に入ってややペース・ダウンしたものの、それでも目的地に設定した弟子屈[てしかが]付近に羅臼から1時間で到着した。
カーナビの予想を2時間も短縮したのだが、これはナビが壊れているってことなのだろうか(←いや違う)。

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D52で摩周湖第一展望台へと上る。
料金所のおばちゃんに「あら独り?女連れじゃないの?情けないわねぇ(笑)」と言われ、やや凹みながら展望所まで歩いた。
「霧の摩周湖」は曇天ながら湖面まで良く見え、駐車場から釧路方向の眺めも素晴らしい。
引き続きD52を下り、摩周湖の駐車場チケットが使える硫黄山へと立ち寄る。
高温の蒸気が目の前の穴から轟音と共に噴き出しているのだが、柵も囲いも無いアバウトなところが大いに結構である。
D52に戻って屈斜路湖の東岸を走り、そのままR243を一気に駆け上がって美幌峠に降り立った。
展望所から望む屈斜路湖は曇天を映してやや暗い印象だが、それでも心洗われる絶景である。
実にいい気分で、国道を再び湖へと駆け下っていった。

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ここから中標津[なかしべつ]の宿へと向かうべく、R243を東に向かう。
が、時間がありそうなのでD1040を右折して多和平へと寄ってみた。
ここからの眺めは文字通り360度の大パノラマで、山と地平線以外に何も見えない巨大な牧場である。
R243からは虹別[にじべつ]でD13へとスイッチ、大草原を貫いて快感すら催すペースで走り続けるB3。
中標津の街に入り、日没前に「ペンション フォルメン」に到着した。

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三連休も終わり、今宵の客は私独りとのこと。
この宿はコース料理を目当てに選んだのだが、予想以上の旨さに仰天した。
鮭のマリネから始まり、パンプキン・スープ、海老と帆立のグラタン、サーモン・ステーキ、ポーク・ステーキと、どれもこれも素晴らしい。
この内容で一泊夕食つき7,000円以下とは、俄かには信じがたいほどだ。
いやはや、大満足である。

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9月19日の走行距離は、462km。
走行時間は6時間46分、平均速度は68.3km/hだった。

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J3

見覚えのある景色も多く、毎度楽しませていただきました。

相泊温泉、屋根が取っ払われていてビックリです。
先日の写真が、どう考えても私が入った当時の「女湯」からの
構図だったもので、不思議に思ってたところでした。道理で。。。

稚内の風力発電、一基燃えましたね。。。
by J3 (2011-10-03 23:26) 

s_saigo

すごい、その一言に尽きますね。
あの一直線の道写真も、あの温泉も。
車もそんなところ走れたら気持ちいいでしょうね。
もうすぐ雪の季節なので、今がリミットですよね。
by s_saigo (2011-10-04 10:10) 

wata

J3さん、こんにちは。

相泊温泉はベニヤの小屋で開放感が乏しいと思い、これまで立ち寄ったことはありませんでした。
調べてみたら、どうやらシーズンの間だけ小屋を設置しているようで、私が訪れたときはシーズン終了に備えて小屋を撤去した後だったようです。
実際、この3日後には今年の入浴可能期間が終了していますから、小屋無しで入浴できたのは本当にラッキーだったのだと今改めて思っています。

稚内で燃えた風力発電機は、私が見たのとは別の場所にある一基のようです。
落雷が原因らしいですけど、何にも無いところにババーン!とおっ立ってるワケですから、そりゃ雷も落ちますよね(汗)。

by wata (2011-10-04 20:23) 

wata

s_saigoさん、こんにちは。

そうなんですよ、北海道は他では観られない&体験できないようなすんごいのがいっぱいあるんです。
今回のGTではあまり立ち寄りませんでしたが、温泉は秘湯/野湯系がたくさんありますし、直線道路はどこまでもひたすらの直線ですから、ステアリングを切る必要もございません(笑)。

既に大雪山周辺では初冠雪を、旭川の街でも初雪を観測したと聞きます。
ちなみに私、10年ほど前の10月中旬に北海道をクルマで走りましたが、日高に泊まって朝起きたら辺りは一面の銀世界でした(汗)。

by wata (2011-10-04 20:23) 

パンサー

知床横断道路は3年前に走りました。景色もよく道はいい感じの
ワインディングですよね。温泉好きのwataさんのことだからきっと
カムイワッカの湯でも行くかと思いましたよ(笑)

観光名所は外さないんですね。摩周湖も晴れてますね。
どのフォトをみても懐かしさを覚えます・・・
多和平からは地球が丸く見えましたか?
どれも素晴らしいGTコースですね!


by パンサー (2011-10-04 20:58) 

wata

パンサーさん、こんにちは。

カムイワッカの滝は何度か訪れて「滝壺温泉」に浸かったことがあるのですが、この日は交通規制が敷かれており、滝登りも途中までに制限されているようでしたのでパスしています。
しかしそれ以上に風情を感じる相泊温泉に入れましたので、悔いはまったくございません(笑)。

私も一介の観光客に過ぎませんので観光名所も訪れますが、混雑してたら立ち寄りもしません。
その点、観光バスなどが来ない多和平のような絶景スポットはイイですよねぇ。
そんな場所がたくさんある北海道は、やっぱり素晴らしすぎると思います(笑)。

by wata (2011-10-04 21:51) 

ちゅう

おお、これが最も美しいと言われる網走広域農道! ありがとうございます。

みごとですねぇ。

by ちゅう (2011-10-06 07:17) 

wata

ちゅうさん、こんにちは。

6枚目の写真が、斜網広域農道なんですか?
いや、知りませんでした(汗)。
彼方へと続くストレートの景色は本当に見事でした。
・・・が、畑から出てきたトラクターが走る道なので、泥だらけです(涙)。

by wata (2011-10-06 21:56) 

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