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GT2011北海道[3]:直線 [drive/touring]

3日目は、稚内からスタート。
あちこち寄り道しながら、雨の中を網走まで走った。

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5時に起きて部屋のカーテンを開けると、いかにも「これから雨になりますよ」と言わんばかりの重たい曇り空。
降り出す前に宗谷岬まで走るべく、宿を6時前に出発した。
稚内市街を出ると左手に静かな宗谷湾、右手に荒涼たる原野を見ながらR238は遥か遠くまで伸びている。
早朝故か交通量はほぼゼロだが、この辺りは速度取締りの重点地区と聞いているため、スピードはほどほどに。

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岬の手前を右折して、D889で宗谷丘陵へと駆け上がる。
ここにも多数の風力発電機が林立しており、果てしなく拡がる緑の丘と好対照を成していた。
気温は14℃、雨を予感させる冷たく湿った風が吹く。
晴れてりゃ最高だろう、しかし曇天でも素晴らしい眺めであることに変わりは無いし、実に気分良く走れるルートである。
岬へと下りる途中のパーキングにB3を駐め、コールマンの小さなフォールディング・チェアを出す。
想像よりも近くに感じるサハリンを見晴るかしながら、稚内のコンビニ/セイコーマートで仕入れた弁当を喰った。
300円程度の稲荷寿司&海苔巻き弁当ではあるが、何とも贅沢な気分である。

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宗谷岬に出ると、いきなりの強風と強雨に見舞われて驚いた。
それでも最北端の碑まで歩いてはみたものの、愛用のビニール傘はあっけなく骨がひん曲がり、横殴りの雨にたちまちびしょ濡れとなる。
傍らに立つ間宮林蔵の労苦を思い知り(←そうか?)、即時撤退と相成った。
雨の中を再び宗谷丘陵まで上がり、誰もいないD889を南下してゆく。
この道は整備されてまだ間も無いようで、明るい山間を駆け下る滑らかなアスファルトの快走路。
ただし沿道のあちこちに鹿の姿が認められるため、注意を怠ることはできない。
T字路でD1077にぶつかり左折、この道も気持ちの良い2車線路だが、一部区間が簡易舗装となっている。
更に、国道に出る手前の500mだけになぜかダートが残されている変な道であった。
R238に復帰し、左手にオホーツク海を眺めながら猿払村を南下。
途中を左に折れて小さな集落を抜け、目的の道に出た。

「うっわ・・・」

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村道・浜猿払エサヌカ線は、聞きしに勝る仰天のウルトラ・ストレート&フラット・ロードだった。
事前の情報である程度はわかっていたつもりであったが、とにかく真っ直ぐな一本道と真っ平らな光景がどこまでも拡がっている。
絶景だとか素晴らしいとか言うよりも、メチャクチャだ、あり得ない、と言った思いが先に立つ。
B3を走らせてみても、センター・ラインと空の雲が速度に比例して流れていくだけで、周囲の景色は何も変わらない。
本当に前へ進んでいるのだろうか、とも思い、このまま走り続けると離陸するんじゃないか、とも思った。
この場所は、時間や空間の概念が現実から少しズレている。
いやはや、とにかくブッたまげた。
北海道には、すんごい道があるもんだ。

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雨のクッチャロ湖を見下ろすクローバーの丘で一休みしたら、ここからしばらくは内陸部を走ることにする。
R275をしばらく行くと、中頓別[なかとんべつ]の付近で沿道に駐機するジェット戦闘機を発見。
ABSを炸裂させながら急制動をかけて立ち寄ってみたところ、ホンモノのF-104Jが公園に展示されていた。
退役してからずいぶん経つ旧い戦闘機ではあるが、文句無くカッコいい。
この公園で余生を送っている理由は良くわからないものの、さすがは北海道、とまたもや得心したのであった。
国道を離れてルートに選んだD120は、交通量皆無のロング・カントリー・ロード。
降りしきる雨の中、70kmほどの距離を6速⇔5速でひたすら楽しく走り続ける。
仁宇布[にうぷ]からはD49で美深[びふか]まで出、昼飯を喰うべく名寄[なよろ]までバイパスに乗った。

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北海道らしいモノを喰おうと、名寄駅前の「三星食堂」でジンギスカン定食を注文。
自分で焼くわけではなく、調理された肉野菜炒め状態で供されたのだが、これがなかなかの旨さで腹一杯となった。
ここからは再びオホーツク海を目指すべく、R239で東へと走る。
相変わらず広くて快適な道ではあるが、雨は本格的に降り続き轍には水が溜まっており、走行に気を遣う。
更に進むに連れて雨が激しくなってきたので、道の駅「にしおこっぺ花夢」でしばし雨宿り。
とても旨いいちごミックスソフトクリームを舐め倒しているうちに、雨足も多少弱まってきた。
西興部[にしおこっぺ]からはR239に並行するD334へとスイッチするが、国道よりも大型車輌が少ないためか、轍が殆ど無く実に走りやすい。
自ずとペースも上がるってもんだ(頷)。

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オホーツク海沿いのR238に出て右折、紋別の外れまで進むと、そこには巨大な蟹の爪が立っていた。
併設の看板によればその全高は12mもあるとのこと、想像以上にデカい。
デカいながらもデフォルメはされておらず、妙にリアリティのある造形となっている。
すぐそばには立派な道の駅や海沿いの公園があるのだが、どうもこのオブジェはそれらから外されているようで、周囲は未舗装かつ水溜りだらけ。
そんな扱いを受けていることも含め、私はこの蟹の爪が大いに気に入った。
なまら、シュールだ。

時刻は15時過ぎ、蟹の爪にも傍らのB3にも雨は等しく降り続いている。
この後にサロマ湖や能取湖を攻める計画だったのだが、雨は一向に止む気配は無いため、今日はもう網走湖畔の宿へと向かうこととした。
カーナビをセットするとその道程は120kmと出たのだが、ふーん、と言う感じである。
北海道上陸二日目にして早くも距離感覚が麻痺してしまったようで、降りしきる雨の中、これから東京-甲府間に匹敵する距離を一般道で走ると言う実感が湧かないのだ(笑)。
雨のおかげでケーサツの取り締まりも無いだろう、マイペースで走り続けて夕刻の宿に到着した。

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網走観光ホテルは三連休中とあって満員御礼、大賑わいである。
チェック・イン、広い和室で浴衣に着替えて露天風呂。
例によって安いプランでの宿泊なのだが、地産品中心の夕食はなかなかに豪華である。
サッポロ・クラシックの中ジョッキでスタートし、慣れない毛蟹の解体に取り組むのであった。

ちなみにこの宿、メインの駐車場はキーを預けてギッシリと並べるスタイルである。
ところが部屋から見ていると、駐車場係の人がB3を全然扱えていないのだ。
B3を出すのに、まずエンジンがかからない。
やっと始動できたと思ったら、エンストをこく。
後ろのスペースに別のクルマを入れてから再び戻ろうとするのだが、リバース・ギアに入れられない。
なんとかバックで動き出すものの、ビビリまくりの超低速で、めちゃめちゃナナメって駐めている。
・・・んもー、こんなんじゃ心配で寝られやしないっ!(涙)

そこでフロントへと赴き、荷物を出すからと言ってキーを預かり、B3を真っ直ぐに駐め直してからキーを手元に残してコッソリと部屋へと戻った。
後ろのクルマが出られないことに気づきゃ、その時には何か言ってくるだろう。
やれやれ、これで枕を高くして眠れるってもんだ(笑)。

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9月18日の走行距離は、493km。
走行時間は7時間14分、平均速度は68.2km/hだった。

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コメント 12

nikukyu-

間宮林蔵の像・・・・・なるほどぉー(頷)。
そういう繋がりでしたか(笑)。
なにがなんでも行かなきゃならなかったわけですね(爆笑)。

いやぁ~、人事だから笑える駐車場係の人(笑)。
自分だったら四苦八苦している最中に赴いていた事でしょう(汗)。
by nikukyu- (2011-10-01 19:39) 

koji

こんばんは。
『浜猿払エサヌカ線』の真っ直ぐさはきっと呆れるほどなんでしょうね。
地平線も見えるしびっくりのスケールです。

ところで私も稀に駐車係なるお方に否応なく車の鍵を預けることがありますが、雑に扱われてガッカリしたこともあります。
せめて自分で駐車するか、先方に任せるかの選択権ぐらい与えて欲しいと思うようではカーキチ(死語)と呼ばれて白い目で見られるのでしょうかね?
by koji (2011-10-01 19:55) 

wata

nikukyu-さん、こんにちは。

何が「そういう繋がり」なのかよくわかりませんが(汗)、宗谷岬に間宮林蔵の銅像が建っていることは現地で初めて知りました。
いずれにせよ、ここまで来て風雨を理由に宗谷岬に寄らないってのはあり得ませんよね(笑)。

今どきMT車ってのも少ないですから、駐車係の人も難儀したんでしょうねぇ。
少し離れた第二駐車場は自分で駐める方式でしたから、そっちにすれば良かったと思ってます(涙)。

by wata (2011-10-01 22:05) 

M郎

恐るべしウルトラストレート。
これは、理性と戦いですね。
やまなみハイウェイ・尾鈴グリーンロードのように「ここは高速道路ではありません。」と書いた看板はありませんでしたか?
by M郎 (2011-10-01 22:19) 

wata

kojiさん、こんにちは。

前日に走ったサロベツ原野のオロロンラインも凄かったんですが、日本海や利尻島が見えたり緩いカーブや起伏もあったりする「快走路」でした。
が、エサヌカ線はひたすら真っ直ぐ&真っ平らで、もはや「滑走路」のレベルに達していると思われます(汗)。

ここのホテルは狭い駐車スペースにクルマを縦に並べて駐めるため、単に後ろのクルマが出られるようにフロントへキーを預けることになっているだけなんです。
kojiさんのケースは、高級ホテルやセレブなレストランでやっている「バレット・サービス」のことですよね。
私だったら白い目で見られようが、自分で駐めちゃいますけどね(笑)。

by wata (2011-10-01 22:19) 

wata

M郎さん、こんにちは。

ここのストレートは、ハンパ無いですよ・・・。
路面も良く、出そうと思えばいくらでも出せたとは思います。
が、あまりの凄さに、理性では無く本能でマイペース以内に抑えて走っていました。
走っても走っても、景色が変わらないんです。
漢字の「不」という字がフロント・スクリーンいっぱいに拡がって、その状態がいつまでも続くんですよ(震)。

by wata (2011-10-01 22:29) 

ぽちぶらっく

宗谷からのルート、なんとも風情がありますねぇ。wataさんの記事を楽しませていただきました。しかしこのストレートはもう凄いですね。こういう道を敢えて時速30km/h程度で延々と走ったりすると、また違う世界観を得ることができるかもしれないと、何故かふとそう思ったのでした。

広い北海道。何回訪れても「走り」の天国であることに感動します。
by ぽちぶらっく (2011-10-02 00:27) 

ちゅう

おはようございます! 例によって楽しんで読ませていただいています。

素晴らしいストレートですね。学生のころ北海道を走ってきた男が言うには「北海道て広いねんで。『景色変わらへん』を一日中言うてた」。ホンマかと思ったものでしたが。。

以前調べたことがあり、R12見幌-滝川が最長だ、いや美しさではR334~斜網広域農道だとか、世界最長は豪州の400km超だとか、その道ではいろいろ言われていました。こちらははじめて知りました。

いつの日にか走ってみたいと思います。
by ちゅう (2011-10-02 08:57) 

wata

ぽちぶらっくさん、こんにちは。

宗谷丘陵の開放感&爽快感は、筆舌に尽くしがたいものがあります。
海沿いを走って宗谷岬・・・もイイのですが、景色も走りも楽しめる丘陵ルートは是非とも走っていただきたいですねぇ。

エサヌカのストレートは、自転車やバイク、クルマなど、それぞれの得意な速度でターッと流すのがいいかもしれませんね。
ちなみに私、ここを30km/hで延々と走れるほど人間ができてはおりません(汗)。

by wata (2011-10-02 12:47) 

wata

ちゅうさん、こんにちは。

確かに、日本最長の直線道路は美唄-滝川間のR12だと言われていますね。
30km近くあるってんですからビックリですが、実際に走ってみると町あり信号ありで、ごく普通の国道って感じです。
単なる数値上のナンバー・ワン、それだけに過ぎないと思っています。

エサヌカ線はそんなに距離は無いと思いますが、圧倒的に何も無く、真っ平らなんですよ。
非日常的なストレートという点では、私はエサヌカ線以上の道を他に知りません。
Blogでお伝えできるのはその凄さの1%にも満たないと思われますので、是非ともお出かけいただき、ご自身で体験していただきたいと思います。
クルマと同じで、人を感動させるのは数値性能よりも感覚性能ですからね(笑)。

by wata (2011-10-02 12:48) 

zdm1929

こんにちは(^^)
すごい直線ですね!!サスガ北海道♪
んが、「本当に進んでるんだろうか?」という気持ち、よぉくわかります(笑)
身内に北海道出身者がいるのですが、どうもジンギスカンはかなりの種類があるようで。ワタシは↑のような“野菜炒めテイスト”がイチバン好きです(^^)
by zdm1929 (2011-10-03 17:11) 

wata

zdm1929さん、こんにちは。

この直線、あまりに真っ直ぐで平らなので、秘密裏に造られた滑走路なんじゃないかと思えるほどです。
中頓別の公園に展示されていた要撃戦闘機/F-104Jも、実はこのエサヌカ線で離着陸訓練をしていたとかいないとか(←いない)。

名寄/三星食堂のジンギスカン定食はなかなか旨かったのですが、私はやっぱり自分でジューッと焼くヤツが好きですね。
今回のGTでもこの後の旅程で喰うのですが、そのあまりの旨さにビックリ仰天することになるのです(予告)。

by wata (2011-10-03 19:49) 

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