SSブログ

GT2011北海道[2]:迂回 [drive/touring]

GT2日目。
北海道の地を踏んだB3は、最北の街を目指す。

----------

P1050999.jpg
船上の甘美な二度寝から目が覚めたのは、午前3時。
身支度を整え、荷物をまとめているうちに下船の案内があり、B3の元へと階段を降りてゆく。
新日本海フェリー「ゆうかり」の第一甲板には、出航時に閉じ込められた新潟の空気が排ガスの臭いと共にそのまま残っており、暑くて不快である。
しかしながら定刻の4時30分に接岸、乗下船口の巨大なシールドが轟音と共に埠頭へ向けて開き始めると、北海道の冷たい空気が一気に流れ込んできた。
トレーラー・トラックの一団に続き、乗用車の下船が始まる。
エンジンをスタートさせ、格納していたサイド・ミラーを展開し、カーナビの自車位置を修正して小樽の港に降り立った。
よーし、これから北の大地を思う存分走り回るぞっ!

P1060004.jpg
P1060002.jpg
P1060007.jpg
・・・の前に、朝飯を喰おう。
早朝3時から営業していると言う小樽市内の鱗友朝市へ向かい、小さな食堂に入った。
店内は同じフェリーで来たと思われるお客さんですぐに満席となり、皆さんイクラやウニなどの豪勢な海鮮丼系をオーダーしている。
その脇で、焼き鮭と刺身などがついた普通の日替わり定食をサクッと喰い、すぐに店を出た。
ちなみに北海道と言えば海鮮モノの宝庫ではあるが、私はウニやイクラが喰えない。
定食に予想外についてきたイクラの小鉢も、醤油とワサビをブチ込んで何とかその味をごまかしたのである(涙)。
口中にほんのりと残るイクラの後味をガムで強制的に消し去りつつ、降り始めた雨の倉庫街を抜けて小樽の街を後にする。

P1060012.jpg
uvs110927-002.jpg
P1060016.jpg
R5→R337と結び、R231で北上を開始した。
今日はこのまま日本海に沿ってひたすら走り続け、最北の街を目指すのだ。
残念ながら天気予報は大当たりで、曇りベースでところにより雨、時々は豪雨にも見舞われる。
そんなコンディションでも、履き換えたばかりのヨコハマ・アドバン ネオバ AD08は溝もタップリあるためか、接地感に不安もなくマイペースでB3を走らせることができる。
重く圧しかかる雲は鉛色の海と共に延々と彼方まで続き、晴れ間が覗く気配も無い。
そのストイックな光景が、オッサンをしてB3のドライビングに専念させ続けた。
雨の止んだ雄冬岬で豪快な滝を眺めながら小休止していると、ずぶ濡れになったライダーたちも次々とパーキングに入ってくる。
そう、クルマならワイパーを動かせば済む雨中の走行も、バイクにとっては極めて辛いハズである。
彼らのためにも雨が上がってほしいと思いつつ、北上を再開した。

uvs110927-001.jpg
P1060017.jpg
が、その先には「R231降雨のため全面通行止」の電光掲示板が待っていた。
おいおいマジかよ、と思って停まっていたバイクのカップルに話を訊くと、通行止めの現場を見てはいないがUターンを考えているとのこと。
「『降雨のため』っつーことは、雨が止めば開通するだろ」と楽観的に考えながらB3を飛ばして先に進んだのだが、その期待は脆くも潰え去った。
固く閉ざされたゲートの前にいた作業員のおにいちゃんによれば、つい1時間ほど前に増毛[ましけ]の手前で落石が発生、復旧は未定なのだと言う。
仕方が無いのでUターン、電光掲示板まで戻ってバイクのカップルに状況を説明し、悲しみを分かち合った(笑)。
地図を確認しても周辺に迂回路などはまったく無く、増毛へ出るには手前の浜益[はまます]から内陸部へと大きく逃げなければならない。
そのルートはどう少なく見積もっても100km以上あると思われ、改めて北海道のデカさに呆れ返る。
二人に別れを告げて浜益まで30kmほど戻り、道端に立つ自販機の缶コーヒーでブレイク&リセットしてから東へと舵を切った。

uvs110927-003.jpg
まったく走る予定の無かったR451をひた走るB3。
沿道には何も無く、緩やかなアップダウンとルーズなコーナーで、どこまでも続く山の中を抜けてゆく。
完全2車線で走り放題・・・と言いたいところだが、路面はつぎはぎの補修跡だらけでうねりも多く、不用意な速度での強行突破はタイヤのフェンダー・ヒットを招くこともあった。
おまけに止んでいた雨も再び降り始め、ところどころで土砂降りの憂き目にも遭う。
それでも、「100km以上の迂回」と言う本州ではあり得ない事態をむしろ楽しんでいるドライバー(←Mか?)。
時折出現する先行車をブッコ抜きつつ、新十津川町まで気持ちよく走り続けた。

P1060022.jpg
P1060025.jpg
石狩川に沿ってR275を北上、雨の上がった雨竜町で道の駅「田園の里うりゅう」に立ち寄る。
この付近はどうやら旨い米が獲れるようなのだが、だからと言って白米入りのアイスクリームを売らなくったっていいじゃないかと思いつつ、やっぱり買う。
硬めに炊いたご飯が練りこまれているミルク味のアイスは何とも微妙な食感だが、これはこれでなかなか旨いと思った。
一息ついたところで本来の日本海ルートへと復帰すべく、D94を西に向かう。
山間部ではまたもや雨に降られるが、モノともせずにマイペースで快走。
増毛の先でようやくR231に合流、ここは通行止め地点からわずか20kmの場所なのだが、トリップ・カウンターを見ると120kmも迂回してきたことになる。
これは、東京から横浜へ行くのにわざわざ静岡県/御殿場へ立ち寄ってから折り返すような距離感であり、あまりのメチャクチャっぷりに苦笑いを禁じ得ない。
だからと言って疲れたわけでも凹んだわけでもなく、さすが北海道!と妙に納得しつつ北上を再開するのであった。

P1060032.jpg
P1060033.jpg
P1060042.jpg
国道番号を231から232へと引き継いで北へと続く、日本海オロロンライン。
留萌[るもい]を過ぎると雨は止み、引き続き青空は見えないながらも、道の駅「おびら鰊番屋」の辺りで北の空が明るくなってきた。
北海道はその広大さからか、クルマを走らせていると天候が予報を無視して劇的に変わることがある。
今日もそんなドラマが起きることを期待しつつ、腹も減ったので昼飯を喰うことにした。
羽幌にあるホテルに併設された道の駅「ほっと・はぼろ」に立ち寄ると、「名物・えびタコ餃子」、とある。
当然ながら喜び勇んでえびタコ焼餃子の定食を喰ったのだが、これがどうにも今ひとつ・・・。
焼きすぎだっつーのに加え、具がエビとタコなもんだからそもそも脂が無いわけで、全体的にパサついた食感が実に残念である。
これはむしろ水餃子で喰うべきなんじゃないかと気づいて辺りを見回すと、お客さんの多くが鉄鍋から水餃子をすくって旨そうにハフハフやっているではないか。
何だよ、水餃子あったのかよ・・・と今更気づいても、後の祭りでピーヒャララ(涙)。

P1060051.jpg
初山別[しょさんべつ]、遠別[えんべつ]と北上を続けていくうちに、オロロンラインの空から少しずつ雲が消えてゆく。
サイド・ウィンドウを開け放てば、摂氏16度の乾いた涼風がキャビン内に渦を巻く。
路肩表示板の矢印が並ぶ国道の左右は大きく拓け、見通しの良いセイフティ&ハイスピード・ドライビングが続く。
やがて天塩の町に入り、道の駅「てしお」で蟲だらけのフロント・スクリーンをキレイに拭きあげると、B3は国道を外れてD106へと向かった。

P1060068.jpg
P1060062.jpg
オトンルイ風力発電所
前回、2000年の秋にM3Bで訪れたときにはこんなもんはまだ無かったように記憶しており、今までは写真などでその存在を知るだけであった。
が、実際にナマで観るとものすごい迫力である。
風力発電機にはいろんなサイズがあるが、ここのはとにかくバカでかい。
で、そんなバカでかいのがずーっと一直線に並んでおり、しかもその周囲には海と原野しか無いのだ。
後で調べたら一基の高さは99m、それが3,100mに亘って28基も聳え立っていると言う。
風を受けて全ての巨大なプロペラがゆったりと回る光景は実に圧巻で、畏怖感さえ覚えつつ、その姿から暫く目を離すことができなかった。

・・・で、その先にパトカーが隠れていた。
路肩にB3を停めていると、その前を天塩方面に向かって1台の軽自動車がそれなりのペースで通過していった。
と、脇道の奥にある小さな丘の陰からいきなりパトカーが出現、赤色灯もつけずに猛ダッシュでその後を追いかけていったのである。
仰天してその先を目で追ったのだが、既に2台とも緩いカーブの向こうに消えており、捕り物があったかどうかもわからない。
すると5分もしないうちにそのパトカーが戻ってきて、同じ丘の陰に再び隠れたのだ。
パッと見たところではフェンダー・ミラー仕様の旧型ニッサン・セドリックだと思われ、レーダーは搭載していない模様。
結局のところ何やってんだかよくわからなかったのだが、スピードを出している軽自動車を見つけて本線に飛び出し追尾したものの、違反を測定できずに撤収してきたのではないかと思われる。
いずれにせよ、迷惑だ。
陰湿な待ち伏せを知らせるべく、そこからしばらくの間、対向車輌にパッシングで注意を促した。

P1060069.jpg
P1060070.jpg
P1060076.jpg
P1060086.jpg
サロベツ原野と日本海とに挟まれたオロロンライン、D106
その道は彼方の地平線からまっすぐに伸びてきて、彼方の地平線へとまっすぐに消えてゆく。
左手、洋上に浮かぶ利尻富士はその姿を雲の陰に隠したままであったが、そのことを嘆くよりもむしろ雨の予報からここまで回復してくれたことに感謝すべきであろう。
空と海と大地、他には何も無い。
何も無いということがこれほどまでに印象的だとは、ここに来るまで知らなかった。
その何も無い風景を走るために、ここまでやってきたのだ。

P1060096.jpg
P1060097.jpg
ハイペースで北上するB3はやがて速度を緩め、稚内へと向かうD106を離れてD254に入る。
時刻は16時、雲の向こうで陽が傾くノシャップ岬には冷たい風が吹いており、長袖のシャツだけでは足りずにMA-1を羽織った。
つい昨日の新潟の暑さは何だったんだ・・・と思えるほどの寒さである。
久しぶりに訪れるこの岬もずいぶんキレイに整備されていたとは言え、そこはかとなく漂う最果ての雰囲気が実にいい感じだ。
今日はこの後に宗谷岬まで走る予定であったが、「120km迂回」で時間を喰ったため、最北の地は明朝改めて訪れることに決定。
代わりにここノシャップ岬で日没を迎えようかとも思ったが、雲が増えてきておりキレイな夕焼けは望めそうにない。
今日はもう宿へと向うこととし、稚内の市街地へと走る。
途中、未練がましく振り返って見た利尻富士は、最後まで雲のヴェールに包まれたままだった。

P1060098.jpg
P1060099.jpg
給油を済ませ、素泊まりで予約していた「ホテル滝川」にチェック・イン。
値段の割に広くてキレイな部屋で荷を解き、晩飯を喰うべく宗谷本線の線路を渡り、R40沿いに出る。
どんなもんかと思って入ってみたのは、ロシア料理店「ペチカ」。
1,500円のコースはビーツのサラダやピロシキ、ペリメニ、ボルシチなどの定番料理に加え、初めて聞くシャシリークと呼ばれる肉の串焼きも出てきた。
で、どれもこれも旨いのだ。
一か八か頼んだロシアビール「バルティカ」も予想外にスッキリと飲みやすく、大満足である。
実にいい気分で宿へと戻り、温泉でゆったりと手足や袋の皺を伸ばしまくる45歳。
部屋でUMPCを開き、楽しかった今日一日をテキストにまとめてから眠りに就いた。

----------

0917.jpg

9月17日の走行距離は、485km。
走行時間は7時間50分、平均速度は61.9km/hだった。

nice?(1)  コメント(16) 

nice? 1

コメント 16

J3

いやはや、最高のルートですね。

「私はウニやイクラが喰えない。」
ええっ!この記事でココに一番喰いついてしまいました。。。
by J3 (2011-09-29 23:39) 

wata

J3さん、こんにちは。

雨降ったり迂回したりしましたけど、上陸後に一気に最北を目指すってのは、旅情炸裂でいい感じだと思います。
で、椎茸と同様、ウニもイクラも喰えません。
従って、朝食は安上がりで済みました(笑)。

by wata (2011-09-30 00:07) 

zdm1929

こんにちは(^^)
うーむ、いいですねぇ、北海道♪
実はワタシも8月の末に行きましたが自由時間ゼロの旅でした(涙)

しかしオトンルイ風力発電所スゴイですね!99mが28基とは(驚)
ちなみに、ワタシこの羽を見るといつも「うわっ、羽取れてこっち飛んできたらどうしよう(滝汗)」と思ってしまいます(^^;

・・・あ。ワタシもウニ・イクラ食べられません(T_T)
by zdm1929 (2011-09-30 10:16) 

zen

やっぱり「讃岐冨士」やなかったんや?おかしいなあ!?
by zen (2011-09-30 21:35) 

acatsuki-studio

ただ一言。「うらやましい!」原野のど真ん中の一本道。ぜひ一度走ってみたいです!

そして去年八雲市でネズミトリに取っ捕まった苦いおもひで。罰金でリアディフューザーくらい買えましたよ、ええ。
by acatsuki-studio (2011-09-30 22:46) 

sako

こんばんは♪

ん~実に臨場感のあるレポですネ!

「私はウニやイクラが喰えない。」 ⇒ 同感です(笑)
絶対食べられないかというとそうではありませんが、まず¥を払ってまで食べません (^▽^;)

by sako (2011-09-30 22:55) 

wata

zdm1929さん、こんにちは。

北海道、いいですよねぇ。
でも札幌や函館ならともかく、このオロロンラインなんて自由時間が無いと絶対に行けないと思います(笑)。
オトンルイの風力発電機群はそのハードウェアはもちろん、建ってるロケーションも凄いです。
とにかく周囲には何も無く、かなり手前から見えるため、たどり着くまで予想以上に時間がかかるんですよ・・・。

ちなみにウニやイクラは喰えなくても別に困りませんが、寿司屋でワリカンすると大負けしますのでご注意下さい(←経験済み)。

by wata (2011-09-30 23:49) 

wata

zenさん、こんにちは。

・・・いや、だから「利尻富士」ですってば(汗)。

by wata (2011-09-30 23:49) 

wata

acatsuki-studioさん、こんにちは。

オロロンラインは、すんごいです。
こんなBlogじゃ、そのすごさの1%も再現できていないと痛感しています。
クルマ好きなら、万難を排してでも一度走るべき道だと思いますよ。

「八雲」とは、函館に近い八雲町のことでしょうか。
ハイ、八雲付近は取り締まり多発地点のようですので、くれぐれもお気をつけ下さい(涙)。

by wata (2011-09-30 23:50) 

wata

sakoさん、こんにちは。

今回のGTにもちっちゃなPCを持参していまして、記事用のテキストはできるだけその日のうちにドラフトを書いていました。
鮮度を保つために釣ったその場で冷凍する、マグロ漁船的な感じです(笑)。

・・・マグロは好きなんですけどねぇ、ウニやイクラはどうにもアカンのです(涙)。

by wata (2011-09-30 23:51) 

Shima

今度いくら、うに、しいたけの3色丼をごちそうしますね。
by Shima (2011-10-01 07:46) 

wata

Shimaさん、こんにちは。

では、三色丼のイクラ・ウニ・シイタケ抜きでお願いします(←ただのどんぶり飯か?)。

by wata (2011-10-01 09:22) 

獅子まる

wataさんこんにちは。

のんびり?下道行脚も良いですね~(迂回路120kmはチト勘弁ですが)
夏休みの家族旅行で旭川~函館までレンタカーで南下してみましたが
時短のため高速利用が多く、寄り道時間はあまり取れない忙しい旅行でした。汗 こっそり隠れてる輩も多数目撃しましたし。w

家族は観光より食い倒れ目当てなんで、ジンギスカンやら蟹やら寿司やら堪能してきました。

ウニイクラは苦手な方が多いですね~食べ過ぎるとコレステロールが高いですから、懐同様注意が必要ですね。
でも、道の駅あぷたで食べたウニ丼は絶品でした。^^

wataさんの写真を見ながら、やっぱり北海道はマイカーで行きたいと痛烈に思います。
by 獅子まる (2011-10-01 12:47) 

wata

獅子まるさん、こんにちは。

はい、のんびり?と下道を走らせていただきました。
あちこちで休憩しながらも、500km近くの行程を日没までに下道だけで走れてしまうところが、やはり北海道なんだなって思います。
迂回路も楽しく走れましたよ(笑)。

北海道食い倒れご家族ツアー、楽しかったんでしょうね(笑)。
私の旅は自分のクルマを走らせることが第一義なのですが、旅行のスタイルは様々ですし、飛行機&レンタカーは最もポピュラーなスキームだと思います。
でも、獅子まるさんも是非一度、クロゴルGTIで北海道へ上陸してみて下さい。
走り放題、保証つきです(笑)。

by wata (2011-10-01 13:53) 

じみぃ

はじめまして。古い記事にコメントして、ごめんなさい。
以前走ったコースをなぞるようで、東北とかのツーリング記事と一緒に、こちらも食い入るように見てしまいました。
さて、次のツーリング記事も見てみよう。
楽しみにしています。(それにしても、写真凄いです!!)
by じみぃ (2012-09-20 12:20) 

wata

じみぃさん、はじめまして。

アクセス&コメントいただき、どうもありがとうございます。
・・・いや、実はですね、昨日からあまりにも大量の「nice!」をいただき続けておりましたので、So-netのシステム・エラーか?と少々心配していたところです(汗)。

旧い記事に目を通していただくのって、とても嬉しいんです。
テキストも写真も大したことありませんが(涙)、お時間のあるときにでも引き続きご覧いただければ幸いです。
今後ともよろしくお願いします!

by wata (2012-09-20 17:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。