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GT2011北海道[1]:船旅 [drive/touring]

グランド・ツーリング2011北海道。
初日は新潟港まで走り、小樽行きのフェリーに乗船した。

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朝3時半に家を出て、B3が眠るパーキングへと歩く。
太平洋高気圧が居残る関東地方は未だ真夏日と熱帯夜を数えており、それはこの日も例外ではなく、袖を通したばかりのポロシャツが早くも身体にまとわりつき始めた。
B3のロックを解いてラゲッジ・ルームに9日分の旅支度を放り込み、「絶対に、事故らず壊さず捕まらず」と低く唱えながらイグニッションを入れてE4/6型直列6気筒エンジンを叩き起こす。
CAMP2のディスタンス・カウンターをリセットし、カラオケ・ボックスの前で騒ぐガキ共を横目に脇道から国道へ出た。

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金曜日、早朝の関越自動車道。
交通量は極めて少ないが、だからと言って徒にアクセルを開けることもなく、音楽を聴きながらむしろいつもより2割ほど低い巡航速度で淡々と走る。
新潟発小樽行フェリーの出航時刻は10時30分、チェック・インや買出しなどの時間を考慮しても余裕で間に合うためだ。
明けゆく空には多少の雲がかかっているものの、今日も晴天の一日となりそうである。
しかし、日本海を経て上陸する明日からの北海道は雨模様との由。
何とも理不尽ではあるが、まぁ天気は変えられないので文句を言っても始まらない。
リスケジューリング前の旅程では台風とまともにブチ当たっていたはずなので、それに比べりゃ遥かにマシである。
北陸自動車道/新潟西ICでアウト、出勤時間帯で混雑する市内を走り、フェリー・ターミナルに到着。
20人ほどの列に並んで往復の乗船券を受け取り、給油と買出しを済ませるために一旦港の外に出た。

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今日乗る船は、新日本海フェリーの「ゆうかり」。
トラックと乗用車を合わせて200台以上を飲み込み、最大900名近くの乗客を乗せるのだと言う。
全長200m、総トン数18,000tを超えるその艦体は、間近で見ると圧倒されるほどデカい、デカすぎる。
「クイーンエリザベス石庭」もビックリである(意味不明)。
間もなく乗船開始となり、並んでいた乗用車やバイクがランプウェイを上って第二甲板(2F)へと消えてゆく。
しかしB3は最低地上高が低いと判断され、トラックやトレーラーと同じく第一甲板に収容されることとなった。
アウディ・A4やマツダ・ロードスター、スバル・インプレッサ、更にはキャンピング・カーなどと共に船尾から進入。
短距離にせよ長距離にせよ、旅立つフェリーへの乗船はいつも何とも言えないワクワク感に満ちている。
荷物を持って第三甲板まで上がり、インフォメーション・センターで部屋の鍵を受け取った。

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今回の船旅は、往復とも個室を予約している。
多客期を過ぎたオフ・シーズン料金であり、定員に満たない1名の利用でも貸切料金がかからないためだ。
一等洋室ツインは小さなビジネス・ホテルの部屋と言った趣で、TVや茶器、洗面所、浴衣、スリッパ、タオルなど、風呂とトイレ以外は必要なものが全て揃っていた。
この日の新潟は10時で既に30℃を超える真夏の暑さであったが、部屋には個別空調パネルも備わっており至極快適である。
大いに満足して出航前の船内を歩いてみると、乗船客もほどほどの数であり、混雑している感じは無い。
ゆったりのんびりとクルージングが楽しめそうな雰囲気で、ますます結構である。
出航の銅鑼を聞いて後部デッキに出ると、「ゆうかり」は新潟港をゆっくりと離れるところであった。
これから小樽港まで、18時間の船旅が始まるのだ。

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夏の匂いが残る日本海は極めて穏やかで、注意していても揺れはまったく感じられない。
青空には太陽が燦々と輝き、素晴らしい旅のスタートとなった。
新潟市内で仕入れてきた栗ご飯弁当を平らげ、デッキに出て航跡をぼーっと眺める。
海の見える大浴場でのんびりと風呂に浸かってから、空調の効いたパブリック・スペースで北海道限定ビール「サッポロ・クラシック」をキューッと飲る。
部屋に戻って小一時間ほど爆睡し、サイド・デッキで風に当たって目を醒ます。
乗船待ちの駐車場で言葉を交わした、寝床つきの改造ワンボックスで独り全国を旅する静岡のおねいさんと旅の情報を交換する。
そんなことをしているうちに夕刻となり、左舷の窓から射す光は朱けの色へと変わっていった。

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いつの間にか雲が出ていたものの、果てしない水平線上に展開する夕暮れは実にドラマチックだ。
太陽は海へと沈む直前にその姿を現し、再び雲に隠れて地球の向こう側へと去ってゆく。
空は残照で輝き、残された雲は熾火のように燃え続け、見つめる乗船客の顔を黄金色に染めていた。

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晩飯は、カフェテリア方式のレストランで喰った。
大変ラッキーなことに、9月1日から小樽市の協賛でキャンペーンが行われており、小樽便の乗用車1台につき2,000円分の船内クーポン券が配布されたのである。
そんなわけで、喰いたいものを選び生ビールもつけて、クーポン利用で実質負担額は200円!
更にソフトドリンク券が2枚ついているのに加え、小樽のお土産(海産物加工品のセット)まで貰えるのだ。
いやはや素晴らしい、太っ腹にも程がある。
食後は右舷のデッキに出て汽笛を交わしながらすれ違う姉妹船「らいらっく」を見送り、再び風呂に入ってから21時過ぎに床に就いた。

それにしても、久しぶりの船旅は実に快適で楽しかった。
経済性や利便性に加え、長距離フェリーならではの素晴らしい時間を過ごすことができたと思う。
ただし、海が荒れていたらその限りでは無いだろう(汗)。

深夜1時半頃に目が覚め、トイレに立ったその足で誰もいないサイド・デッキに出る。
空には一粒の星も見えず、吹く風は湿り気を帯び雨の予感を孕んでいる。
それでもあと3時間後には北海道の地に降り立つのだと思うと、改めて今回のグランド・ツーリングへの期待が高まってくる。
そんな気持ちを抑えつつ、部屋に戻って再びベッドへ潜り込んだ。

茫漠の路を、船は走り続けている。

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9月16日の走行距離は、345km。
走行時間は3時間47分、平均速度は91.2km/hだった。

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コメント 6

gocci

初めまして。
新潟県在住のgocciといいます。
wataさんの記事いつも楽しく拝見しています。
私は新潟市内に住んでいますので、グランドツーリングの記事を読んで、wataさん近くに来てるんだなーと勝手に思ってました。
私も結婚前はE46のクーペに乗って、よく一人で走りに行ってました。
wataさん程、タイヤ交換のペースは早くありませんでしたが(笑)
いつもwataさんの臨場感伝わる文才に感心しながら、自分もツーリングしている気分にさせてもらってます。
また、是非とも新潟に走りに来てくださいね。
by gocci (2011-09-28 13:36) 

koji

B3でフェリーに乗るという状況を考えると、潮位によってはフロントスポイラーを擦るのではないかと心配していたのですが、そのあたりは全く問題なかったのでしょうか?
by koji (2011-09-28 15:08) 

toriton

いいですねぇ。フェリー旅。
もう10年も前ですがワタシも新潟⇒小樽ルートで上陸しました。当時乗っていたのはV6 Terranoでして、存分に大地を走り回ったものです。
…んで、今回も動画のupに期待しております。ハイ(^^;)
by toriton (2011-09-28 18:46) 

wata

gocciさん、はじめまして。

コンタクトしていただき、どうもありがとうございます。
特段の文才があるわけではございませんが(汗)、こんなBlogで良かったら、これからもどうぞお立ち寄り下さい。

新潟県と言えば、只見や奥只見へのアプローチのために関越トンネルを越えたことは何度かあります。
しかし逆を言えば、新潟県内へ走りに行くことはこれまで殆ど無かったように思います。
山も海も温泉も旨いものもたくさんあるんですよね、新潟県。
いずれ走りに参りますので、その際は是非ご指南下さいね。

それでは、今後ともどうぞよろしくお願いします!

by wata (2011-09-28 20:52) 

wata

kojiさん、こんにちは。

あの、「潮位によってはフロントスポイラーを擦るのではないか」の意味が良くわからないのですが・・・。
「潮位が高いと停泊している船の位置も相対的に高くなるので埠頭からのアプローチが急傾斜となってフェリーに乗り込む際にフロントスポイラーを擦るのではないか」ってことでしょうか。

・・・長々と書きましたが、まったく問題無いと思われます(頷)。

by wata (2011-09-28 20:53) 

wata

toritonさん、こんにちは。

フェリー旅、いいですよねぇ。
海峡を渡る短距離航路も楽しいのですが、1泊でゆったりと寛ぐことができた今回の船旅は最高でした。
単なる移動手段ではなく、クルマとはまた違った「旅」の良さがあると思いましたよ。
北海道には今もなお至るところに魅力的なダート路が残っていますので、テラノのようなSUVで走るのもまた楽しいんでしょうね。

で、動画はですね、開陳する腹は決めているのですが、未だ編集作業に着手すらしていないのです(汗)。

by wata (2011-09-28 20:54) 

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