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ショート・ムービー制作メモ [killing time]

<おことわり>
この記事は、2011年5月初旬に開陳したショート・ムービー、「BMW ALPINA B3 | The another side of weekend」の制作メモのようなものです。
7月の下旬に脱稿、5月度の日付でエントリーしていましたが、通常の更新としてアップし直しました。
内容的にBlogの主旨からちょっと外れているような気もするんですけど、これもまたクルマ・ライフのひとつと考えて、記事とさせていただいた次第です。
適宜、流していただければと思います(汗)。

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B3のショート・ムービーを作ろうかな~、と思い立ったのが2月の中旬。
これまでも何度かムービーを作っていたりしましたが、それはドライブ先などで撮った映像を後から繋ぎ合わせてみたものばかりです。
今回はそうではなく、予め出来上がりのイメージを決めておき、そのムービーを作るのに必要な撮影と編集を行っていくことにしました。
そんなことやるの、初めてです(汗)。

◆ムービー・イメージ
-「日常の延長である夜の街を抜け出し、誰もいない朝のワインディング・ロードを走るB3」的なムービー。
-映像は「撮って出し」のピカピカなデジタルの画ではなく、粒子の粗いフィルムのような荒れたトーンで描く。
-色彩よりも陰影を重視し、「アルピナ・ブルー」に頼らない。
-ネタやオチなどを盛り込まず、終始マジメな作風とする(笑)。

◆仕様
-HD720p(1280*720)、30fps、5分間以内
-Blogでの公開を前提(YouTubeエンベッド)

◆撮影
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◇自宅近くの公園や住宅街
パナソニック・DMC-G2で、夜を象徴するオブジェクトをいくつか撮影しました。
使用したレンズは、暗い中でも雰囲気のある画が欲しかったので、敢えて旧い設計で作られたフォクトレンダー・ノクトン・クラシック:40mm/F1.4や、30年前に製造されたキヤノン・ニューFD:85mm/F1.2Lをセレクトしています。
それにしても、誰もいない夜中の公園で蛇口やブランコを撮っているオッサン、かなり怪しいですよねぇ・・・(汗)。

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◇都内
ガラス越しではありますが、2月下旬のトーキョーの夜景をDMC-G2&ルミックスG:20mm/F1.7で捉えました。
本当はもう少し広角な画を撮りたかったのですが、7-14mm/F4のレンズでは暗くて全然ダメ。
動画撮影の難しさを、改めて知ることとなりました。
なお、グリーンの電飾は秋葉原駅周辺で、ブルーのイルミネーションは南千住で撮影しています。
本当はもっときらびやかな街中のシーンを撮ろうと思っていたのですが、そんなことを考えているうちに東日本大震災が発生。
節電により、夜景や電飾系の画は撮れなくなってしまいました。

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◇駐車場
B3へのアプローチやボディ各部のクローズ・アップなどを、DMC-G2で撮っています。
レンズはルミックスG:20mm/F1.7およびライカD・ズミルックス:25mm/F1.4を、いずれも開放絞りで使用。
最後の出発シーンはニューFD:85mm/F1.2Lを使い、ボケまくりの画をいただきました。
駐車場内に三脚を立ててコソコソと撮影し、他人の足音が聞こえるや否や、物陰にササッと隠れる中年オヤジ。
通報されなくて、何よりでした(汗)。

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◇箱根
このムービーのハイライト、ドライビング・シーン。
クルマ仲間のKさんに主旨を説明、快く賛同していただき、2月下旬の箱根でB3の走る姿を撮影してもらいました。
カメラ・カーとしてKさんが持ち込んできたのは、ポルシェ・911カレラ。
何とも贅沢な話ではありますが、Kさんのドライブする911は被写体(=私が運転するB3)よりも速く走れるために撮影の自由度が高く、「寄り」も「引き」も思いのままなのです(汗)。
目論見通り、ターンパイクや椿ラインでダイナミックな走行シーンをたくさん撮ってもらうことができました。
カメラ・カーによる撮影はパナソニック・DMC-GF1&ルミックスG:20mm/F1.7をメインに使用し、一部のカットはソニー・DSC-HX5Vを使っています。
また、走り行くB3を道路脇からロング・レンジでシュートするため、KさんにはDMC-G2&ルミックスG:45-200mm/F4.5-5.6を構えてもらったりもしました。

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◇筑波山
自分の中で「絶対に撮る!」と決めていた夜明けのカットを収めるために、表筑波スカイラインの朝日峠駐車場から山に登ったのが3月初旬の日曜日、午前5時。
ルミックスG:7-14mm/F4をセットしたDMC-G2を東に向け、6時過ぎの日の出時刻を挟んで45分ほどの定点撮影を行いました。
この素材は約300倍速で編集し、10秒間のインタールードとして作中で使用しています。
天気にも恵まれてイメージ通りの画が撮れたとは言うものの、現場はとにかく寒くて45分の間は他にやることも無く、予想以上に辛い撮影となりました(涙)。
陽が昇ってからはB3を走らせ、同じくDMC-G2&7-14mm/F4のセットやコダック・Zx3で、コクピット・ビューやオンボード・シーンなどを撮影しています。

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◇首都高速道路
箱根でのドライビング・シーンと対を成す「夜の首都高クルージング」は、再びKさんにカメラを回してもらいました。
今回はゆったりと流すレベルの走行シーンを・・・と伝えたら、Kさんはミニ・クーパーS・コンバーチブルでご登場。
撮影シーンに合わせてカメラ・カーを変えてくるとは、カーグラ・スタッフもビックリです(笑)。
しかしながら撮影日は震災後の4月下旬、節電のために道路の照明は大幅に落とされており、狙っていたベイブリッジやレインボーブリッジのイルミネーションも消灯状態。
DMC-G2やGF1にルミックスG:20mm/F1.7を装着、絞り開放にて撮影に臨みましたが、予想以上に暗い首都高にロケは難航します。
これはもう明るい画を撮ることはできないと判断、無理にISOを上げたりもせず、シルエット中心の撮影を続行しました。

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◇自宅
ネクタイを放り投げて椅子にかけ、机の上のイグニッション・キーをピックアップするシーン。
実はコレがまったく上手にできず、投げたネクタイが落っこちたりキーを直撃したり、NGを連発しまくりました。
恐らく、10回以上は撮りなおしているハズです(涙)。

◆編集
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PCで動画ファイルを編集するには、それなりのマシン・パワーを必要とします。
さらに今回は全編HDスケール、しかもAVCHD-LiteやH.264/MOVなどの高圧縮で重いフォーマットを扱いますので、これまで10年近く使っていたPentium4搭載PCでは実質的に作業は不可能だったと思われます。
しかし今年の正月からはCORE i7-2600搭載のミニタワー型PCにスイッチしており、64bitのWindows7をバック・グラウンドに大容量ハードディスクや12GBのメモリをブチ込んだこともあって、グラフィック・ボード無しでも快適な編集作業が可能となりました。
ソフトウェアは、コーレル社のVideoStudioX3-Pro。
初心者やホーム・ユーザー向けの比較的安価な動画編集ソフトで、2006年頃から過去のバージョンを使っていたため操作に迷いもありません。
凝った作品作りには向いていないようですが、いずれにせよ凝った作品は作らないので、私にゃコレで十分です(笑)。

VSX3.jpg
編集作業は、カンタンに言えば「動画ファイルを選ぶ⇒必要なシーンを探す⇒必要な長さに切る⇒並べる」の繰り返しです。
しかしながら撮影した映像は合計212ファイル、4時間以上にも上るため、目を通すだけでも一苦労。
たかだか4-5分のムービーを1本作るのにこれだけの撮影をしていたとは、効率が悪いにも程があります(汗)。
そうして選び出したファイルから必要なシーンを抜き出し、楽曲のBPMに従いカットして、タイム・ラインに並べていきました。
ザッと仮組みをした段階で一度MPEG2ムービーに書き出し、YouTubeへ非公開アップロード。
チェックしてもらったKさんから率直な感想や意見をもらい、以降の作業へフィードバックしていきます。

NewBlueFX.jpg
素材をできるだけ活かしたかったこともあり、ビジュアル・エフェクトの使用は必要最低限としました。
編集ソフトVideoStudioX3にはたくさんの機能があるのですが、そのうちの1割も使っていないと思います(笑)。
その代わり、「画作り」には注力しました。
いかにもビデオっぽいキレイな映像を捨て、フィルム・ライクな荒れた暗めの画とすべく、全てのカットに対して色味の変更/調整をかけています。
その際に多用したのが、NewBlue社のビデオ・フィルタ群。
VideoStudioの上で動くFXプラグ・インで、豊富なプリセットと調整パラメータを使って様々なテイストの画を作ることができます。
DMC-G2やGF1で撮った高画質のHD映像を敢えて「汚す」のは少々抵抗がありましたが、それでも遠慮なくバサバサとフィルタをかけパラメータをいじくりまくっているうちに、イメージしていた雰囲気が出てくるようになりました。
昨年の夏、撮ったままの映像を中心にテスト・ムービーを組んだことがありますけど、やけに明るい(笑)その画と今回のムービーとを並べてみると、とても同じ機材で同じ被写体を撮っているとは思えません。
もしも色味調整などをしなかったら、ムービーはまったくの別物になっていたと思われます。

幾度かのチェック&コレクトを経て完成したプロジェクトを、HD720pのMPEG2ファイルとしてエクスポート。
YouTubeへアップロードし、Blogの記事に貼り付けて開陳としました。

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今回、自分としてはかなり手間暇をかけて作ってみたのですが、「何のために?」と聞かれると答えに窮してしまいます・・・。
しかしまぁこれもクルマ趣味のひとつですし、このようなバカバカしいお遊びを一生懸命やるってのは、なかなか楽しいんですよね(笑)。
反省点も多々あるのですが、これに懲りず、いずれまたチャレンジしてみようと思っています。

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suite-spiral

みんカラの某blogで業界人だと誤って断定される程のmovieは(笑)、こうして制作されていたのですね。

ロケ車を変えるKさんのプロフェッショナルさも素晴らしいアングルを齎した要因ですね。

このmovieの素晴らしさは、このblogや年に1-2度拝見するGTのroute設定にも感じられる、wataさんの緻密な性格の成せる技でしょうね。ワイディングを前にして、クールダウンの時間すらもどかしいと感じてしまう私には、到底重ねられない緻密なカットの結晶です。

愛車が駆けている姿を記憶以外に形として残すことは、今の私には難しいことですが、wataさんのmovieを見て、いつかやってみたいと思わされましたよ。

by suite-spiral (2011-08-21 21:27) 

wata

suite-spiralさん、こんにちは。

なぜ私のことを映像関係の業界人と断定する人がいるのか理解に苦しみますが(汗)、何度も申し上げている通り、私ゃフツーの会社に勤める中年サラリーマンに過ぎません。
それとですね、私の性格は緻密でも何でも無く、どっちかっつーと、いやむしろ正反対の大雑把な感じですのでお間違いなく。
・・・って、改めて言わなくてもお解かりですよね(涙)。

Kさんは以前から「相互撮影プレイ」を楽しんでいた仲間の一人ですので(笑)、主旨を直ちに理解し二つ返事でカメラを回してくれました。
ロケによってカメラ・カーを変えてくるKさん、次はステディ・カムやクレーンなどを出してくるんじゃないかと心配です(汗)。

by wata (2011-08-21 23:32) 

Skoll

wataさん、こんばんわ。ご無沙汰しています。

The another side of weekend 何度も見させていただいた作品です。
B3の躍動感、夜の静寂、夜明けの透明感、仕事が終わった解放感、どれも印象に残る画で表現されてますよね。

動画には少しだけ興味があったので、今回のブログを興味深く読ませていただきました。
解説も非常に判りやすくて、どうやってあのすばらしい作品が出来ているのか理解できましたよ。
機会があれば是非同じフレームに収まってみたいですね!
by Skoll (2011-08-22 01:25) 

s_saigo

wataさん、こんにちは。
こ、これは、私がwataさんを映像関係のお仕事と
確信した作品ではないですか!!
さすがに、撮影クルーの本気度もすごいですね。
車の洗車とかも混ぜたら、すんごい時間が
かかってるんでしょうね。
車も幸せなことだと思います。
by s_saigo (2011-08-22 09:34) 

wata

Skollさん、こんにちは。

ショート・ムービー、ご覧いただきどうもありがとうございます。
「みんカラ」は相変わらずリード・オンリーでコメントできないのですが、プロの方が撮影/編集したSkollさんのB3Sムービー、凄いなぁと思って私も何度も拝見しています。
使用されているハード・ウェアやソフト・ウェアも垂涎モノですけど、たとえ私が同じ機材を入手したとしても、使いこなせずに速攻でヤフオク行きとなることは明白です(涙)。

機材の良し悪しや作品の出来不出来は置いといて(汗)、ムービー制作って楽しいんですよね。
ツーリング・ビデオなどと違って手間隙かかりまくりですが、またテーマを決めて作ってみようと思います。
・・・いや、いつか私が六甲に行く機会があったら、ADとして使ってください(←作らないのか?)。

by wata (2011-08-22 19:48) 

wata

s_saigoさん、こんにちは。

何度も繰り返し申し述べており、しつこいようで申し訳無いのですが、私の仕事は映像関係ではございませんっ(キッパリ)。
・・・いや、もしもそんな仕事をしていたら、もっとカッチョいいムービーを作りますって。
自分としてはこれまでに無くマジメに頑張って作ったつもりですので、こんなんで勘弁して下さい(伏)。
なお、撮影や編集にはそれなりに時間がかかりましたが、制作工程に洗車の時間を含めると言う発想には思わず大笑いしてしまいました(笑)。

by wata (2011-08-22 19:52) 

root-t

wataさん、こんばんは。

ムービー作るのは大変なんですね!
Skollさんのムービーも拝見しましたが、趣味というより道楽ですね。
道楽は手間、暇がかかるわけですが旦那のやることで・・・。
 もう、感服してしまいます。
走るだけのアンポンな私には、うらやましいかぎりです。ムービーを撮る技術もなければ、その気もないですから。できれば、ちょっとだけ出演したいかな~。

 B6は未だ工場に入院中です。パンドラの箱を開けてしまったばかりでなく
手を突っ込んでかき回しちゃった状況です。でも、先が見えてきました。
 ALPINAは思っていた以上に奥が深い、深すぎる!

 おまけにB3Biturboは、信号待ちの停車時に玉突き事故に遭いまして、全損になりました。今度は、B3S Biturboになる予定です。
LSD入れちゃおうかな(ただのお○鹿!)?
 あっ、身体のほうは大丈夫ですから・・・。

by root-t (2011-08-22 21:56) 

wata

root-tさん、こんにちは。

はい、確かに道楽っちゃー道楽ですねぇ・・・。
いずれ撮らせていただくこともあると思いますので、その際はよろしくお願いします。
まぁ用も無いのにクルマを走らせたり、クルマを趣味としていること自体が道楽みたいなもんですから、その点で言えば私だけでなくroot-tさんも道楽三昧だと思われます。
例えばB6-2.7に嵌りまくってるあたり、クルマ道楽の最たるモンだと思いますよ(笑)。

B3ビターボ、事故に巻き込まれて全損廃車ですか・・・。
お身体は大丈夫とのことですが、それにしても大変な目に遭われましたね。
心からお見舞いを申し上げます。
次はドレクセラーのLSDをオプション装着したB3Sビターボ!っていかにもroot-tさんらしいですけど(笑)、もう二度と事故に遭わないように祈っております。

by wata (2011-08-22 22:55) 

つくばの松

wataさんこんにちは・・

「やはりwataさんは映像関係のお仕事・・・・」って、もしかして私が最初に言っているのかも?・・ご迷惑をかけ申し訳ありません。
今回のブログで制作のご説明がありましたが、やはり私には内容は難しくてサッパリ解りません!

やはりwataさんは映像関係の・・・・(爆)




by つくばの松 (2011-08-24 05:41) 

wata

つくばの松さん、こんにちは。

今回の記事はムービー制作に特化した内容ですので、動画編集などをやったことがある人しかわからないような記述も多々あると思います。
適宜、流していただければと思います(汗・2)。

「映像関係の・・・」は、ネタとして書いていただいていることは重々承知していますし、ある意味オイシイとも思っています。
が、万が一ホンモノの映像関係の方がご覧になっていたら、「こんな奴と一緒にするな!」と、気分を害されること必定です。
斟酌いただければと思います(伏)。

by wata (2011-08-24 20:38) 

sako

こんばんは♪

あの素晴らしい作品はこうやって創られていたんですね~(゚∀゚*)
そうそう、こんな動画を作りたいんですが、結構な手間と協力してもらえる仲間が必要になるんですよねぇ~ (^。^;A

いやはや、wataさんのセンスにはいつも驚いてばかりですヽ(*゜O゜)ノ
by sako (2011-08-25 20:51) 

wata

sakoさん、こんにちは。

いやいや、センスなんぞこれっぽっちもございません。
自分勝手に、自分の好きなように作っただけのことでございます(伏)。

クルマはやっぱり走ってる姿がイチバンだと思うのですが、自分のクルマが走ってるところは自分じゃ撮れないんですよね・・・。
と言うことで、クルマ仲間のKさんに1st.カメラマンをお願いしました。
撮影は快調でとても楽しかったんですけど、編集はそれよりも遥かに手間隙がかかるってことをつくづく思い知らされた次第です(汗)。

by wata (2011-08-25 22:01) 

キャベオ

HP拝見させて頂きました。
すごく勉強になります。私も趣味でショートムービーを作っています。
まだまだ初心者ですがこれからも拝見させていただきますww

by キャベオ (2011-09-04 00:55) 

wata

キャベオさん、はじめまして。

コメントをいただき、ありがとうございました。
私の場合はクルマ遊びの一環として作ってみただけであり、「趣味」の域にはまったく達しておりません(汗)。
参考にしていただける点があるとはとても思えないのですが、ご覧いただき大変嬉しく思っています。
いつかまたムービーを作ることもあると思いますので、おヒマなときにでもお立ち寄りください。
今後ともよろしくお願いします!

by wata (2011-09-04 17:16) 

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