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東秩父ドライブ [drive/touring]

経験上、新品のタイヤは履かせてからしばらくしないとその性能を発揮しない、と感じています。
タイヤ・メーカーは新品装着後100km程度の慣らし走行を推奨していますが、それはあくまで表面の皮むきや構造材の馴染み、リムとのフィット性の観点などからのサジェスチョンなのでしょう。
個人的には、タイヤの持つグリップ力やレスポンスなどの所期性能が出てくるのは、そのトレッド面がサスペンション・ジオメトリーに従って減ってからのことだと思っていますし、それには最低でも500km以上は走らせる必要があると勝手に考えています。

で、5月の第4日曜日、関東地方の天気予報は「AM晴れ→PM雨」。
まぁ降ったら降ったでしゃーないのですが、B3に履かせた11足目の靴:ネクセン・N3000を減らすためには、ウェットよりドライが望ましいのは言うまでもありません。
なので今回は、近場の山を軽く走って昼飯喰って雨が降り出す前に帰ってくることとしました。

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混雑する関越自動車道を花園ICで脱出したB3は、R140→R254を経てK294へ。
市街地から離れるに連れて眼前に迫り来る東秩父の峰々、その緑の山の中へ、県道から小さな分岐を右折しました。
200mスケールまで拡大したカーナビの画面にようやく表示される1-1.5車線レベルの林道を、静かに登っていきます。
周囲の景色は、新緑から常緑に至るまでの色鮮やかな緑のグラデーション。
その中に時折垣間見えるヤマツツジのピンクがアクセントとなり、狭いながらも爽やかな春のドライブ・コースを彩っていました。

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クルマにもバイクにも全く出会わないまま舗装林道を辿り、五叉路となっている釜伏峠まで到着。
エンジンを切ってクルマの外に出てみると、閉めたドアの余韻が消えた後には鳥の囀りしか聞こえてきません。
埼玉県内とは思えぬほどの心地良い静けさに耳を傾けながら地図を確認し、リスタート。
緑に囲まれたK361を、のんびりと気分良く南に走っていきました。
二本木峠を越えると視界は開け、アスファルトにもセンター・ラインが現れます。
この辺りで、「辿るドライブ」から「走るドライブ」へとスイッチ。
少しペースを上げて急坂路を駆け下り、K11を右折して定峰峠へと向かいました。

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新品タイヤのパフォーマンスを推し測りつつ、B3のスロットルを開ける45歳。
前日、冷間時の空気圧を指定値から好みの値に下げた(F:230→210kPa、R:280→260kPa)ことも奏効してか、N3000はまずまずのフィーリングを示してくれます。
とは言えやはりまだ所期性能が出ていないらしく、DSCを一段カットして臨んだタイト・ベンドでは、2速での脱出時にリアだけでなくフロントまでがアウトへ逃げ出すような素振りも見せました。
この程度のルーズなグリップ感は走りこむことによって解消されることがわかっていますので、めげずにB3を走らせてタイヤ減らしに勤しみます。
幸いにも他にクルマは殆ど走っておらず、心配していたチンタラ・トレイン走行に前を塞がれることもなく、最後まで自分のペースで峠まで走り切ることができました。
いやー、快感(笑)。

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定峰峠には、強烈な個性を放つみずいろのクラシカルな2ドア・クーペが駐まっています。
「これはもしかして、ホンダの1300クーペですか?」との質問を皮切りに、オーナーさんからいろいろとお話を聞くことができました。
昭和47年式の1300クーペ9・GTL、塗装を含めて内外装機関はほぼオリジナルのままだそうです。
このクルマ、私は「空冷エンジンの前輪駆動車」ぐらいしか認識が無かったのですが、ボンネットを開けてもらって仰天しました。

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「アルミ・エンジンにドライ・サンプに"京浜"の4連キャブ!?これでノーマルなんですか?」
「そうですよ。1.3リッターで110馬力、8000回転まで軽く回りますから。で、エンジン本体は二重構造であちこちにフィンが切られていて、横にあるシロッコ・ファンで強制的に冷やすんです。ま、(本田)宗一郎さんのコダワリですよね」
「いやはや、コダワリにも程がありますよ・・・(汗)」

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コダワリと言えば、このオーナーさんも1300クーペにコダワリまくっている模様。
この個体は既に3台目だとのことで、家にはエンジン1基を組み上げられるだけのパーツをストックしてあるのだそうです。
今はこのクーペにローバー・ミニ用のエアコンを装着すべく奮闘されているらしく、CADで描いた取付用ブラケットの設計図面を見せてくれました。
なお、所蔵品などを除くナンバーつきの1300クーペは、もはや国内に数台しか走っていないとのこと。
そんなレアで旧いホンダ・1300クーペを走らせ続けるオーナーさんのクルマ・ライフ、素晴らしくカッコいいと思いました。

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定峰峠を後にし、ローリング防止の段差をゆっくりと乗り越えながら林道を南へ。
白石峠から少し上った堂平山頂は、天文台が置かれ眼下に関東平野を望むお気に入りの休憩スポットです。
この日は下界が靄っており展望は拓けませんでしたが、それでも実に爽やかないい天気。
涼しい風に吹かれつつ、ホンマに雨降るんかいな、予報外したんちゃうんか、といった感じです。
白石峠まで戻り、急坂/屈曲/狭隘と三拍子揃ったK172で山を降りました。
意図的にABSを効かせるような制動を何度も繰り返しながら下っていきましたので、これでN3000も少しは減ってくれただろうと思っています(笑)。

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さて、腹も減ってきたのでそろそろ昼飯を喰いに行きましょう。
北上するK273は、静かな杉林の中を行く1.5-2車線路。
松郷峠を挟んで、短いながらも気持ちの良いワインディング・ランが楽しめます。
その先のR254を寄居方面にちょいと走れば、「鬼うどん 金勝」に到着です。
この店は2年前の夏にも訪れていますが、もう笑えるほどぶっとい角材のようなうどんがハイライト。
二本以上を口中に放り込むのは物理的に不可能なので、ザルから一本ずつ引っ張り出し、文字通り噛みしめながら喰うのです(笑)。

その名に恥じない鬼のようなうどんを平らげ、帰路に就くべく嵐山小川ICから関越道に乗りました。
まだ昼過ぎで道は空いており、N3000のランニング・インの仕上げとして、少しペースを上げてB3を走らせます。
マイペース+αでも特段の振動などは感じられなかったため、ホイール・バランスもOKとしましょう。
今日のショート・ドライブでN3000は装着後400km超となりましたので、もう少し走らせれば本来のパフォーマンスを発揮してくれるものと思われます。
ちなみにこの日は帰宅直後から空は真っ黒な雲に覆われ、寒いほどの北風と共に大雨となりました。
天気予報、当たりすぎです(汗)。

本日の走行距離は、242km。
走行時間は3時間50分、平均速度は63.2km/hでした。

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つくばの松

こんにちは~

な~るほど。初期性能~所期性能へですね・・
私のN8000もwataさんのいう500kmまでもう少し
ですので楽しみに検証していきます!

是非3000と8000の違いレポもお願いします・・

でもwataさんの場合、所期性能が出て、少しするともう・・


by つくばの松 (2011-05-27 06:20) 

ulyssenardin36000

なかなか「珍車」に出合われましたね^^趣味を同じくするものが出会うと新たなる世界がまた広がるものです^^vそう言えば、またタイヤの大根おろしをされているのですね^^;;;成果のれぽ、楽しみです~~~^^
by ulyssenardin36000 (2011-05-27 08:04) 

zdm1929

こんにちは
おぉ、1300クーペですか!京浜のキャブ4つは聞いたことありましたが、ドライザンプなのは知りませんでした(驚)
それにしても、素晴らしいコンディションですね!フロントウィンドウのギラギラした模様(?)も懐かしいです。

この天文台、ワタシも若い頃夜景を見によくでかけたものです。今は柵ができてしまいましたが、昔よ夜中でも上までいけたので(懐)
by zdm1929 (2011-05-27 14:19) 

MO~

こんにちは
日曜日に定峰峠にいらっしてましたか?
わたしは、前日の土曜日に東秩父から、定峰峠越え、秩父の豚みそ丼「野さか」というコースで走ってきました。
B3は東秩父村役場に駐めて、秩父までの往復は自転車ですが(汗)

HONDA 1300クーペ、魅力的なクルマですね。本田宗一郎さんの最後の自信作ですものね。先週、ホンダの伊藤社長がカンファレンスで、1300のビジネス上の失敗により本田宗一郎が身を退いたとカミングアウトしてました。それで、CIVICが水冷になったらしいですよ。オイルショックが無かったら、1300はもっと売れてて、CIVICもCVCCも開発されなかったんでしょうね~
by MO~ (2011-05-27 20:01) 

wata

つくばの松さん、こんにちは。

所期性能とは「期待される本来の性能」と言った意味で使っていたのですが、確かにわかりにくいですね・・・(汗)。
いずれにせよ、タイヤのパフォーマンスはある程度減らして「おいしいところ」が出てきてからだ、と勝手に考えている次第です。
N3000ももう一回り削る必要があると思っており、N8000との違いを見るのもそれからですね。
しかしまぁ私の場合、所期性能が出て少しするともうツルッツルに

・・・なりませんから、決して(汗)。

by wata (2011-05-28 01:27) 

wata

ulyssenardin36000さん、こんにちは。

ホンダ・1300クーペにはビックリしました・・・。
オーナーさんのご迷惑も顧みずに喰らいついてしまった私、恐らく30分以上はこのクルマの周りをウロウロしていたものと思われます(汗)。
ちなみにですね、私は「タイヤの大根おろし」をするためにB3を走らせているのではありません。
ご理解下さい(伏)。

by wata (2011-05-28 01:28) 

wata

zdm1929さん、こんにちは。

ボンネットを開けてもらったら、向かって左側に「エンジンオイル」と書かれてフィンが切られたアルミ製のタンク。
これはひょっとして・・・とオーナーさんに聞いてみたら、ドライ・サンプですとの答えが返ってきてブッたまげました。
この個体は塗装もフル・オリジナルだそうで、ドアの内張りには新車時からのビニール・シートがそのまま残っていましたよ。

天文台からは、星だけでなく夜景もキレイに見えるんですね。
確かに素晴らしいロケーションだとは思いますが、夜中にすんごい山道を走らなきゃならないので、パスします(汗)。

by wata (2011-05-28 01:30) 

wata

MO~さん、こんにちは。

Blogを拝見し、ひょっとしたらニアミスだったのかな~なんて思っていましたが、1日違いだったんですね。
「野さか」の豚みそ丼は一度喰わなきゃならんと思っており、その想いが一層強くなりました(笑)。

オーナーさんも仰っていましたが、ホンダ・1300は本田宗一郎さんのコダワリがギッシリと詰まったクルマなんですね。
確かにビジネスとしては成功しなかったのかもしれませんけど、それでもこのクルマは、通りかかった45歳のオッサンを俄かファンにしてしまうほどの魅力に溢れていると思います。
オイル・ショックや排ガス規制、CVCCエンジンなどは懐かしいにも程がありますが(笑)、ホンダ・1300はそんな時代の転換期に抗うことのできなかった、悲運のクルマだったのかもしれませんね。

by wata (2011-05-28 01:37) 

suite-spiral

K361の釜伏-二本木-粥仁田辺りは木漏れ日や木々のざわめき、鳥の囀りが心地よく、この時期や秋のdriving courseに相応しいlineですね。個人的に大好きなlineで、定峯峠、白石峠とのセットでよく訪れます。

堂平山天文台は開門が確か9:30でしたから、タイミングが合わず開門を待てずに小休止に立ち寄ることが多いのですが、二本木峠の方にも天文台があるのはご存知でしょうか? touring mappleだと位置が間違っていて見付けにくいのですが、堂平山の1/20ほどのミニチュアサイズの可愛らしいものがあります。

HONDAもALPINAもengineeringの冴えや拘りが感じられるメーカーですが、特に創始者の影が色濃いモデルには魅力がありますね。1300のオーナーの方の付き合い方は素晴らしいですね。

先週来の唐突感のある梅雨空が少々恨めしく思えてしまいますが、晴れ間の重なる週末があったら、再開した藤屋を絡めて、奥武蔵~奥多野or奥多摩~奥多野touringでもご一緒しましょう。

今週末はインドアを余儀なくされてますので、wataさんのtouring記事で駆けた気になっていますよ(笑)

by suite-spiral (2011-05-28 14:05) 

wata

suite-spiralさん、こんにちは。

おぉ、やはりこの辺りも走られているんですね(笑)。
すっ飛ばせるルートではもちろんありませんが、狭いながらも緑豊かな気持ちの良い道が続き、奥武蔵グリーンラインと並ぶ埼玉のポタリング・コースとして私も大いに気に入っています。
二本木峠の天文台は確かにツーリングマップルにも記載がありますけど、実際の場所は近くの山頂のようですね。
埼玉県とは言え、この付近はやっぱり空気がキレイなんだなぁと改めて思いました。
「峠のうどん屋 藤屋」再開の報も大変嬉しく承りましたので、梅雨の晴れ間を盗んで走りに行きましょう。

ホンダ・1300は、現代ではまずあり得ない「エンジニアリングがマーケティングに優先するクルマ」だと思っています。
商業的には失敗だったのかもしれませんが、得てしてそういうクルマって、何とも魅力的に見えるんですよね(笑)。

by wata (2011-05-28 16:09) 

DION

タイヤ交換、慣らしのドライブは新緑溢れる東秩父でしたか。
こちらは調布までのちょっくらドライブでした。(笑)
私のエコタイヤは慣らしは必要ないらしいです。
内側にスポンジが貼ってあってビックリしました。

うどん、太くて美味しそうですね。
by DION (2011-05-28 22:29) 

wata

DIONさん、こんにちは。

東秩父は新緑溢れまくりで、大変清々しいドライブでした。
私の場合、新品タイヤ装着後の走りこみはタイヤだけでなくドライバーを慣らす意味合いも大なんです(笑)。
吸音スポンジと言えば、ダンロップ・タイヤですよね。
TV-CMを見てなるほどなぁと思っていましたが、そういえば私はこれまでに静粛性を謳ったタイヤを履いたことがありません(涙)。

「鬼うどん」はですね、ぶっといだけでなく旨いです。
ひたすら噛みしめるので、麺の味がよーくわかるんですよ(笑)。

by wata (2011-05-28 23:03) 

ちゅう

こんばんは。

ホンダ1300クーペ! なつかしい(^^) ワタシの指導教官が乗ってました。ドライサンプのタンクが流線型で、フィンが切ってあって・・・。

うしろ足が、また面白いんですよ。長いスイングアクスルを、少しだけ前後にずらして取り付けてるんです。昔のルノーみたいに左右でホイールベースが違うのかな。


by ちゅう (2011-05-30 21:46) 

wata

ちゅうさん、こんにちは。

そうそう、盾のような形をしたオイル・タンクは側面にギッシリとフィンが切ってありましたよ。
二重構造としたエンジン本体もそうですけど、ここまで手間ヒマかけるぐらいなら最初から水冷にすりゃーいいと思うんですが、そうしなかったところに本田宗一郎さんの意地が見えるような気がしました。

リアのサスペンションにも、ひと工夫あるんですね。
失礼を省みず地面に這いつくばって見たところ、昔懐かしい板バネであることは確認していました。
予備知識があったなら、確認のために潜り込んでいたかもしれません(汗)。

by wata (2011-05-30 22:28) 

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