ロアコン・ブッシュ交換

E46型BMWのフロント・ロア・コントロール・アーム。
コイツはL字の一方の端でフロント・サスペンションと繋がり、ピロボール・マウントの中心部を経て他方の端がラバー・ブッシュを介してボディに接合されています。
で、今回はこのブッシュ（以下「ロアコン・ブッシュ」）を交換しました。

ロアコン・ブッシュは、ハンドリングを大きく左右する重要なパーツだと言われています。
劣化が進んでくるとステアリングが轍に取られやすくなったり、ブレーキング時に振動が伝わってくるようになったり、シュアなハンドリングがスポイルされるようなことになったりするとの由。
コントロール・アームがグサッと刺さっているこのパーツ、走行中に常に大きな入力を受け止めていることもあってか、4-5万kmで劣化→交換と言う話を良く耳にします。

で、8万km無交換のB3。
定期点検整備時にもロアコン・ブッシュの交換を勧められたのですが、その際は見送っています。
何故かと言えば、前述のような不具合を特に感じてはいなかったから。
走行距離や乗り方から考えれば劣化していて当然だとも思うのですが、別に実害がねぇんだから問題ねぇだろとばかり、放置プレイと洒落込んでいました。

･･･と言いつつも、やっぱり気になるブッシュの劣化。
走っているときに急にガタが来るようなもんでも無かろうとは思いましたが、予防措置と考えて交換することにしました。
しかし不具合を感じないうちにただ換えるだけってのも、なんだか面白くありません。
そこで今回は純正部品では無く、敢えてサード・パーティ製の「強化タイプ」をインストールしてみました。
足回り関係の部品交換故にアライメント調整が必要だと考えたため、動的アライメント・テスター「G-SWAT」を具備しているとの理由から横浜のBMW専門店・Studieにて交換です。
→が、ロアコン・ブッシュの交換だけならアライメントに影響しないと言うことがわかり、結局のところ調整作業は実施しませんでした。

ちなみにE46用の強化ロアコン・ブッシュと言えば、今は流通していないと言うACシュニッツァー社製のモノが有名です。
コイツはかなりのハード仕様だそうで、ショック・アブソーバやコイル・スプリング、或いはスタビライザー・バーなどと合わせてトータルでセッティングしないと、荒々しさばかりが目立ってしまうようです。
実際、E46/325iツーリングに乗る友人（めちゃめちゃ速いです）が標準のMスポーツ・サスペンションのままコイツを単体で装着したのですが、単にステアリングへのキックバックが酷くなっただけだ！と罵っておりました。
と言うことで、彼は速攻で外してます（笑）。

さて、話を元に戻します。
B3が装着するロアコン・ブッシュはALPINA専用品などではなく、どうやらMスポーツ・サスペンション用のBMW純正部品である模様。
ノーマル・サスペンション用と比較して、若干ハードな造りとなっているようです。
やはりサスペンションのセッティングに応じたモノを使っている、と言うことなのでしょうか。

で、今回装着したロアコン・ブッシュは、サーキット・レベルのサスペンション・チューニングに定評があると言うムーンフェイス社の製品だと思われます。
どこをどれぐらい強化しているのかわかりませんが、Studieのスタッフの方に拠れば「Mスポーツ用より少しハードだけどACS製ほど極端では無い」との由。
ALPINAの足回りに装着しても、さほどの違和感は無さそうです。
目を三角にして峠道を攻めるような走りはしない私ではありますが、たまには気分だけでもスポーティさを味わってみるべかと、純正品を外してみた次第です。

---

その翌週末、群馬県は榛名山の西麓を走る広域農道。
煙草を消してイグニッション・キーを取り出し、E4/6型ユニットに再び火を入れる。
ここからは先に行ってください、と言う後輩TのALFA155をパスし、B3のスロットルを開けてゆく。

水彩画の如くに忽ち後方へと流れ去る、沿道の樹々。
フロント・スクリーンへと一気に迫り来る、ややタイトなレフト・ベンド。
ブレーキングと同時に、3速まで上げていたゲトラーグ・タイプ226のギア・スティックを2速へと叩き込む。

瞬時に跳ね上がる、回転計の赤い針。
鋳鉄ブロックのストレート・シックスが、BOYSEN製の専用エグゾースト・システムが、互いに競い合うかのような鋭い咆哮を放つ。
やや荒れたアスファルトを獰猛に喰らい続ける4本のピレリ・P Zero Neroが、コーナーを前に逸り立つ。

一瞬の後、ステアリングを切りつける。
新たに強化ロアコン・ブッシュを装着したB3は、驚くほど鋭いコーナリン


･･･あれ？


結局、コーナリング・フィールは交換前のそれと大差無し。
特にシャープにもハードにもなっておらず、B3はこれまでと同じ感覚で気持ちよく曲がってくれました。
通算80,000kmを使い倒したブッシュを新品に、しかもわざわざ強化品に換えているのに、コーナーでその違いを体感できなかったのです。
いやはや、全く以って「クルマ不感症」の面目躍如たる思いです（泣）。

ただ、ハイウェイでの安定性はやや向上した印象があります。
微妙なアンジュレーションに対する修正舵が減り、ハイ・アベレージでのクルージングがラクになりました。
これは強化タイプ故の効果か、或いは単なる新品効果なのかは全くわかりませんが、まずは喜ばしい限りです。
また高速道路/一般道を問わず、心配していたステアリングへのキックバックも増えてはいません。
「強化」ロアコン・ブッシュとは言えやはりストリート・ユースを前提に作られているのでしょう、極端なハード・チューニングとはなっていない模様です。

純正品ではないため耐久性が気になるところですが、今のところネガティブな要素は見当たらない強化ロアコン・ブッシュ。
これでまた、B3のリフレッシュを少しだけ進捗させることができました。

コメント 19

こんばんは。
この間、我がBの一連のリフレッシュ作業の中で、ロアコンブッシュの交換を実施しましたが、Wataさんと同様、違いが全くわかりませんでした。
おそらく、Wataさん、こだまさんクラスの方々がしゃかりきにコーナーを攻めた際に体感できるものではないかと…
がんがん走るために必要な先行投資ということでしょうかね。
by zen (2008-07-19 21:47) 

“今は流通していないACS製のロアコンブッシュ”を入れているKです。
確かにコイツはハードですが、スタビやボディーダンパーの装着で、
ロアコンの突出した堅さの感覚が弱まったように思います。
逆に言うと、このセッティングに馴れてしまったので、
ソフトな足回りでは怖くて飛ばせないですね、たぶん。
ハードプレイ好きからは逃れようがありません・・・
by K (2008-07-20 00:37) 

こんにちは。

zenさん同様（失礼）、私も5万キロちょっとで純正交換しましたが、まっーたく、変わりませんでした（わかりませんでした、悲）。
E46のキモとばかりに広告され、鵜呑みに変えましたが、私のレベルでは、はっきりガタガタ体感するまで交換しなければ良かったと後悔しているくらいです。
ドイツと日本の文化差のようなモノですかね（笑）？
by リョウスケ (2008-07-20 16:59) 

zenさん、こんにちは。

そうですか、zenさんもわかりませんでしたか。
あぁ、良かった（笑）。
でもzenさんの場合はリフレッシュを一気に実施したんですよね。
ロアコン・ブッシュ単体だけでは無く、その効果も含めてトータルの乗り味が向上（復活）したってことなんでしょうね。

･･･あの、ところで「wataさんクラス」って何のクラスでしょうか？（汗）
ちなみに私はしゃかりきになってコーナーを攻めたりは致しません。
ゆったりのんびりのクルージングを旨としていますので、その点くれぐれもお間違えの無いようお願い申し上げる次第です（伏）。
by wata (2008-07-20 17:38) 

Kさん、こんにちは。

そう、Kさんのようにトータルでセット・アップしないとダメなんじゃないかと思ってます。
足回りって、複数のパーツが全て有機的に作用しあって乗り味を形成してるんですよね。
そんなハードなM3の助手席に乗せてもらったり、箱根で少しだけドライブさせてもらったりもしましたが、その時も不快な感じは一切ありませんでした。
敢えて形容するなら、「嗚呼、カタくて気持ちイイっ！（昇天）」
by wata (2008-07-20 17:45) 

リョウスケさん、こんにちは。

そうですかそうですか、リョウスケさんもわかりませんでしたか。
いやはや、正にご同慶の至りです（笑）。

あるマイスターの方から聞いた話なのですが、実際に初期型のE46に装着されていたロアコン・ブッシュは耐性が極めて低く、その寿命は2-3万km程度だったのだそうです。
「ロアコン・ブッシュはE46のウィーク・ポイントだ」と言われるのは、そこから来ているのかもしれません。
リョウスケさんや私のB3には対策後のブッシュが装着されていたハズですから、寿命は結構長いのかもしれませんね。
それとブッシュはゴムですから、適度に動かしてやらないと硬化しちゃうんじゃないでしょうか。
きっとリョウスケさんも、動かしまくってるんですよね（笑）。
by wata (2008-07-20 17:59) 

Ｋさん同様、僕の車もここが悪くなるとグニャチンになってしまい飛ばす気力もうせてしまいます。
多分、固めた足はストライクゾーンが狭いのでそのしわ寄せもこういった場所に集中するんでしょうか？（バランスが悪いのでしょうね！；汗）
ノーマルの時代（もう忘れそうですが・・・）ヘたってきたショックでもそんなに違和感無かったように記憶しております。
ところが今では違和感というより不快感が出てきますので困ったものです。

もう、モディも今の車で卒業かな？
今度からはノーマルの良さをとことん追求してみようと思ってます。。。（笑）
by mtm (2008-07-21 12:21) 

mtmさん、こんにちは。

mtmさんのB3は、ビルシュタイン・PSSサスペンションにACSのロアコン・ブッシュですよね。
Kさん同様、「堅め」でバランスが取れているのだと思います。
それにしてもACSのブッシュは金属部分が大きく、ラバーの量は少ないですよねぇ。
コイツは相当ハードなんだろうな、と容易に想像ができます。

＞もう、モディも今の車で卒業かな？

ってことは、次のクルマは当面ノーマルで行くんでしょうか。
逆に言えば、ノーマルで十分なクルマを買うってことなんでしょうね。
私なんぞ、中古のB3でさえノーマルで十分ですよ（笑）。
by wata (2008-07-21 17:53) 

wataさん　こんにちは

私のもかれこれ5万キロに達しようとしていますが、前回車検時に「まだだいじょぶっすよ」とのメカニックの言葉を信じて無交換です　E36に乗ってたときに一度交換しましたが、やっぱり私もなんも感じなかったです。。。　んーでも気持ち的にはそろそろブッシュ類のリフレッシュをしたい年頃の車になってきたなぁと思う今日この頃です　＜　別に走りに不満はないので、放置プレーだと思いますが。。。
by amataro (2008-07-22 09:08) 

こんばんは。

奇遇ですが私も先日ディーラーにて12ヶ月点検を受けたときに「左右のロアコン、完全に抜けてますね」と言われたため、やむなく交換しました。

2年ちょっと前に購入店で新品のロアコンブッシュに交換してもらっていたので「ウイークポイントの箇所だけど新品だから当分は無交換で大丈夫だろう」と思っていましたが、どうやら社外のOEM品だったのが仇になったようで再交換となった次第です（涙）。
今度のはもう少し長く持って欲しいと切に願っておりますが、果たしてどうなることやら（苦笑）。
by ダブルK (2008-07-22 19:24) 

上で書き忘れたので補足です（汗）。

交換前は段差を乗り越えるときにフロント回りから「ゴトッ」と言うショックがありましたが、交換後はそれが「コトッ」くらいになり、アルピナらしい乗り味になったのが分かりました。
どうやら「完全に抜けると体感できる」みたいです（苦笑）。
by ダブルK (2008-07-22 19:31) 

amataroさん、こんにちは。

5万kmなら、まだまだ大丈夫でしょう。
私のB3は8万kmでしたから（笑）。
ただamataroさんのM3はビルシュタイン・BPSサスペンションと19インチのオーバー・サイズで固めているようですから、ノーマル仕様かつチンタラ走行のB3よりは早く寿命を迎えるかもしれませんね。

ブッシュ類の劣化は、旅先でいきなり壊れて走行に支障を来たすワケでも無いので、割と悠長に構えていてもイイんじゃないかと思ってます。
私の場合も、今回のロアコン・ブッシュだけでなくエンジン・マウント交換でもその効果はわかりませんでした。
交換は具体的にネガティブな症状が出てからでも遅くは無いだろう、と考えている次第です。
by wata (2008-07-22 20:07) 

ダブルKさん、こんにちは。

完全に劣化すると、新品交換後はハッキリと体感できるんですね。
私の場合はそうでもありませんでしたから、劣化具合もさほどのことは無かったのでしょう。

＞どうやら社外のOEM品だったのが仇になったようで再交換となった次第です（涙）。

うーん、相変らずトラブルが絶えませんねぇ、ダブルKさんのB3･･･。
パチモンならいざ知らず、いわゆる「OEM品」は純正同等のクオリティで造られているハズなんですけどねぇ。
サーキットなどで強烈な入力をかけたワケでも無さそうですし･･･。
あ、ひょっとしてコストコで大量に買った商品を満載したがために積載オーバーで想定外の負荷がブッシュを直撃したとか？（←違うか）
by wata (2008-07-22 20:17) 

こんぱんは。

私は昔E46 320i M-sportでACSのロアコンを使っていました。
あれは、確かにキックバックは増えますが私は好きでした。
というのはワンダリングに対する修正が楽になるし
曲がるときもステアリングの修正が素直に出来るようになったからなのです。好みの味になりました。

思えば当時は前後にタワーバーを入れたりBPSを入れたりと堅め方向にバランスをいじり「壊して」ました(^^;以後、ノーマル信者になりまして。

ACSのロアコンで心配だったのは強化品だけに他の取り付け部に負担がいかないかなぁ？ということでした。
何にしても大事なのはバランスかと…。

余談ですが…バランスといえばM-Sportの足周りは何と形容していいことやら(笑)。
by ぽちぶらっく (2008-07-22 21:35) 

ぽちぶらっくさん、こんにちは。

おぉ、ここにも「ハード・プレイ嗜好」のお方が･･･（汗）。
前後タワー・バーやビルシュタインBPSなどとの合わせ技ともなれば、かなり「走れるクルマ」に仕上がっていたのではないでしょうか。
私はこれまでのクルマは殆どストックのまま乗っていたのですが、そんなクルマいじりも楽しそうですね〜。

走行性能と快適性能との両立はロード・カーの永遠の課題ですが、割り切ってしまえるのであればいっそラクなのかもしれませんね。
が、どちらも捨てきれない優柔不断な私には、どちらもそこそこ優秀と言われるB3がうってつけなんです（笑）。
by wata (2008-07-22 22:28) 

はじめまして。ロアコンブッシュの交換の際に専用工具を使いましたか？自分は交換の際専用工具を使わなかったせいか、半年も経たないうちに内側のゴムだけが後ろにずれてしまいました。いい作業手順があれば教えていただきたいのですが。。。よろしくお願いします。
by 福本 (2008-07-25 19:07) 

福本さん、はじめまして。

お立ち寄りいただきありがとうございます。
こんなBlogですが、差し支えなければ引き続きお越しいただくと幸甚です。

記事にもある通り、交換作業はショップに依頼しました。
そもそも、私個人では不可能だと思います（汗）。
作業中も見ていないので詳細はわかりませんが、専門店ですからほぼ間違いなく専用工具での作業だとは思いますよ。

･･･と言うことで、せっかくお越しいただいたのに、のっけから役立たずで申し訳ありません（涙）。
by wata (2008-07-25 20:12) 

はじめまして。こんばんは。
０３年式３３０（走行距離５万キロ）に乗っております。

昨日の話です。
足回り交換後、馴らし運転を終え、アライメント調整の為ショップ（Ｓｔｕｄｉｅさん）に行きました。

店員さんから「アライメントとる前に・・ロアコンブッシュが劣化してます、わだちでハンドル取られたり、高速からのブレーキングでブレたりしませんか？」と言われました。

Ｍスポ純正、ムーンフェイス社それぞれ紹介されました。以下教えてもらいました。
・専用工具を使用し、Ｍスポ用で約４万円
・耐久性はムーンフェイスのほうがある
・ブッシュ部分のみ交換できるものであればＭスポ用より１万円ほど安くできる
・放置するとアーム等に支障をきたす可能性がある

予算の都合上、プラグ交換のみやってもらい、アライメントとブッシュ交換はやめました。
ロアコンの劣化によりアライメントが狂うと聞いたので。

みなさんの書き込みを読ませていただき、参考になりました。ありがとうございます。少し安心しました。
ただアライメントの放置はまずいので、近々ロアコン交換含めて行ってきます。

では。
by komo (2008-11-01 02:38) 

komoさん、はじめまして。

ようこそお越し下さいました。
何だかよくわからないまま3年ほど続いているBlogではありますが、差し支えなければこれからもお越し下さると大変励みになります。

この手の部品交換は、自覚症状が無いとなかなかわかりませんよね。
私の場合は走行距離を頼りに換えてはみたものの、上述の通りちっとも体感できませんでした。
ディーラーからもStudieからも「8万kmだったら交換すべきだ」と言われましたよ（笑）。

サスペンションを交換してアライメント調整を行うのと同時にロアコン・ブッシュを新調すれば、かなりシャキッとした乗り味になるのでしょう。
330iを走らせるのがますます楽しくなるでしょうね、きっと（笑）。
by wata (2008-11-02 18:58)