横断歩道

フロントでチェック・アウトを済ませ、ホテルを出て渡辺通を地下鉄天神駅に向かって歩いていきます。
福岡の朝は素晴らしい天気で、レンタカーでも借りて軽く走りに行きたい気分。
しかし現実はそれほど甘くなく、次の会議体に出席すべくANA424便で大阪伊丹空港まで飛ばねばなりません（涙）。

西鉄福岡駅の辺り、横断歩道は赤信号。
程なく青に変わりましたが、信号の変わり目に右折しようと突っ込んできた赤いコンパクト・カーが、横断歩道のド真ん中で止まっています。
なんとも迷惑でマヌケだな〜などと思いつつ数人の通行者の後に続いて渡ろうとすると、一人の女性がその手に白い杖を持って歩いているのに気づきました。
彼女は歩道の点字ブロックが切れたところから横断歩道にまっすぐ踏み出しているのですが、その延長線上にはマヌケな赤いクルマが･･･。

後ろからダッシュしてきたお節介な中年のオッサンに、「正面にクルマがいるから、少し右に寄って歩くといい」といきなり声をかけられて、彼女はかなりビックリしている様子です（汗）。
オッサンもそこからどう誘導していいのか全くわからなかったのですが、彼女の白いダウン・ジャケットの左肘あたりにぎこちなく右手を添えてとりあえず歩き出し、マヌケな赤いクルマを迂回して横断歩道を渡り終えました。

「ありがとうございました！」と言ってくれた彼女の笑顔がとても嬉しい42歳。
オレってイイとこあるじゃん、と自画自賛で歩き始めたのも束の間、その軽やかな足取りがだんだん重くなってきます。

いや、あのマヌケな赤いクルマと同じようなこと、私も若い頃に何度かやっていました。
無理に右折しようとして果たせず、横断歩道の真ん中で立ち往生。
私のクルマを避けながら横断する人々に申し訳なく、かつ恥ずかしく、かつ情けなかった思い出が蘇ってきたのです。
ここ最近はそんなことはありませんでしたが、改めて気をつけねばならぬと思い知らされた次第です。

それと、もうひとつ。
ボーイング777-200への搭乗を待つ福岡空港のロビーで、気になっていたことをケータイで調べてみました。

『目の不自由な人を安全に誘導するための方法を「手引き」と言います。手引きする人は、右腕の肘のあたりを持ってもらい、二人が同じ方向を向いて、必ず見える人が半歩前を歩くように心掛けます。』

ぜんぜん違うじゃん（涙）。
本来は私の肘を彼女に持ってもらうべきなのに、彼女の肘を私が持っていたのですから、全く逆だったと言うワケです。
いや、参った･･･。

そもそも、あの赤いクルマがイカンのだ！
そう思って思い返してみると、その運転席にいたのは結構キレイなおねいちゃん。
私たちが横断中、ずっとこちらを見ていましたので、目の前の出来事が自分のミスに因るものであることは百も承知のはずです。
なのに申し訳無さそうな顔すらせず、こちらに向け続けていたのは終始無表情な眼差し。

･･･うん、ありゃ間違いなく不感症だな（キッパリ）。

コメント 12

素晴らしいですね。無関心の人が多い中、wataさん
のとられた行為は素敵だと思います。
しかも想像力にあふれてるし。危険予知みたいなも
んですよね。こういう人を友人に持ててうれしいと
も思います。はい。弱者への配慮、私もさらに気を
つけるようにします。
by MT (2008-03-16 07:56) 

おはようございます。

wata さんは、「当たり前」と言われるかもしれませんが、良い事されましたね。中々出来ないことだと思います。正に初老の星ですね。

私はせめて迷惑な車側にならないように頑張りたいと思います。
by koji (2008-03-16 08:19) 

MTさん、こんにちは。

最前列の彼女と一緒に数人が渡り始めたのですが、気づいているのかいないのか、誰もアシストしようとしなかったんです。
なので、後続のオバサンを突き飛ばす勢いで駆け寄ってしまいました（汗）。
誘導方法も全くの間違いでしたし、とてもじゃありませんが「素敵」だなんて言っていただくレベルではございません、ハイ（涙）。
by wata (2008-03-16 14:25) 

kojiさん、こんにちは。

「初老の星」、ですか･･･。
コレって、誇りにすべき称号なのでしょうか？（複雑）

当たり前かどうかはわかりませんが、あの場にいたら誰だって同じようなことをすると思いますよ。
もちろん、私よりよっぽどスマートに（汗）。
それよりもkojiさんが仰るとおり、歩行者に迷惑をかけない運転を心がけないといけませんよね。
山道を走るのは、その後です（笑）。
by wata (2008-03-16 14:35) 

wataさん、こんにちは。

はーと・ぅおーみんぐなハナシですねぇ。
私も見習わなければ。

こういうことって、いざやろうかなと思っても案外出来なかったりするものです。
ですから、たとえ不器用でも自然体でスンナリと出来るってことは、やはり素晴らしいことだと思いますよ。

とりあえず、私は身障者用のパーキング・スペースに停める不逞な輩にプレッシャーを与える所から始めてみようかなと思います。（笑）
by tom (2008-03-16 15:25) 

tomさん、こんにちは。

こんな状況にたまたま遭遇したために思わず行動に出ただけで、ご存知の通り私はそんなに高潔な人間ではありません。
シルバー・シートで爆睡し、目が醒めたらお年寄りが前に立っていたこともあります･･･（汗）。
ただクルマを運転する者として、歩行者に対しては常に気を配る必要がありますね。
ま、私はなるべく歩行者がいない道を走るようにしていますが（笑）。

プレッシャー作戦、いいですねぇ。
私も見習うことにしますよ。
by wata (2008-03-16 20:05) 

出張？お疲れ様です。
口で言うのは簡単ですが、いざ実行するとなると
自分では出来たかどうか、はなはだ疑問です。
それも異国?の地となると、なおさらです。
あらためて、自分のドライビングマナーを考え直してみようと思います。
Wataさん、男前ですなあぁ！

追伸：峠のうどんや7戦7勝です！（看板直ってました。今日はなぜか激混みで午前中に売り切れでした）
by zen (2008-03-16 22:07) 

zenさん、こんにちは。

まぁ私自身ドライビング・マナーは決して褒められたものではないので、今回の行動はその罪滅ぼしなのかもしれません（汗）。
なお出張は月に一度ずつ、札幌/大阪/福岡へ行っています。
海外出張などは無いのですが、敢えて言えば私にとって最も異国に近いのは、大阪でんねん（←？）。

zenさん、また峠のうどん屋に行かれたんですね。
今日は天気も良く暖かで、気持ちの良い奥多野ドライブを満喫できたことでしょう。
ちなみに私、今日の昼飯は久々に旨い蕎麦を食いました。
そのために、朝4時起きです（←何故？）。
by wata (2008-03-16 23:04) 

大阪で働くｍｔｍです！（笑）
そういえばこの前も来られてましたね！
突然歯が痛くなっら連絡してくださいねぇ（爆）

僕も昔は何度かこんな経験したような記憶があります。
流石に今はありませんけどねぇ！

それにしても４２歳の男性は男前ですねぇ〜〜！
異国の地でもやっていけそうですね！？（爆）
by mtm (2008-03-18 08:36) 

wataさん、こんにちは。

自分だけ良ければいいと言うｷﾞｽｷﾞｽした世の中においてwataさんのはーと・ぅおーみんぐX2な行動はなかなか出来るものではありませんね!!
wataさんのお人柄が伺えます。

ところでこの「ネーチャン」。調査した所やはり不感症でした。(←どうやって?)

ご安心してください。↑「斉藤さん」に喝を入れてもらうようお願いしておきました。(←だれ?)
by k7 (2008-03-18 12:18) 

mtmさん、こんにちは。

大阪には来週行きます。
万が一にもご厄介にならないよう、日頃からデンタル・ケアには十分留意するようにしておきます（笑）。

エスカレータで左側を空けたり、お好み焼きをオカズにご飯を食ったり、カーネル・サンダースを道頓堀川に投げ込んだりと、大阪はまさに異国情緒に溢れる街だと思ってます。
えぇ、私ゃとてもやっていける自信はございません（汗）。
by wata (2008-03-18 19:10) 

k7さん、こんにちは。

いや、ご存知の通り大した人柄ではありません、私。
むしろこんな記事を書いて少しでもいいヤツに見せようと企てるあたり、逆に人間の小ささを感じさせる始末です（汗）。

赤いクルマのおねいちゃん、見た目はとてもキレイでした。
街中ですれ違ったら、つい振り返ってしまうほどだと思います。
ただ如何せん、不感症なんですよね･･･。
いや、残念です（涙）。
by wata (2008-03-18 19:20)