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GT2009GW[2]5月5日(祝):下北半島一周 [drive/touring]

朝5時に目が醒め、カーテンを開けると快晴の空。
今日はここ盛岡からまっすぐ東北道で北上するつもりであったが、あまりの晴天にすかさず予定を変更する。
7時からの朝食サービスを断念し、6時前にホテルを出発した。

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090505岩手山.jpg
黄信号の点滅する盛岡の街をK16で後にし、滝沢IC付近で農道へと左折。
コーナーを抜けるたび、青空をバックに朝日に輝く岩手山がB3のフロント・スクリーンいっぱいに映る。
なんともダイナミックな景観である。
南麓を走るK278へ入ると、岩手山は一旦樹々の中へと沈んでいく。
が、森を抜けた途端に再びその巨大な姿を現し、オッサンの視線を釘付けにするのであった。

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滝沢ICから、東北道に乗る。
ゴールデン・ウィークの真っ最中ながら交通量は殆ど無く、左手に岩手山を望みながら6速3000rpmレベルでB3は北上を続けていく。
安代JCTからは、初めて走る八戸自動車道
この道は全線80km/h規制とのことだが、なるほどコーナーの曲率もキツめで下り勾配も強い。
フロント・ウィンドウに虫の屍骸をこびりつかせながらの、ややスリリングなハイウェイ・ランとなった。

090505むつ小川原ウィンドファーム..jpg

八戸道の終点からそのまま百石道路→第二みちのく有料道路と乗り継ぎ、三沢で一般道に出る。
小川原湖の西岸に延びるK219で牧草地帯を抜けていく。
たまに現れる農耕車以外にクルマは殆ど見当たらず、緩やかなコーナーをハイ・ペースでクリアしていった。
続くK25は、輪をかけて素晴らしい道。
ゆったりとうねる丘陵を越えると道は森の中の3速ワインディング・ロードとなり、視界が開けるとそこには林立する風力発電機群。
大いに気分が良い。
蒼い空、緑の大地、白いプロペラの間を縫って、上機嫌のオッサンはB3を走らせ続けた。

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陸奥湾沿いのR279は、結構な交通量。
そこで、一本手前の農道を横浜町まで走った。
この付近は菜の花畑があちこちに拡がっており、その黄色が目に眩しいほどである。
5月の中旬には菜の花祭りが行われるとのことであるから、その頃にはたくさんの人で賑わうのであろう。
しかしこの日は他にクルマも人も殆ど見当たらず、道端でのんびりと煙草を吹かすことができた。

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横浜町からのR279は、単調なつまらない道。
他のクルマに混じってダラダラと走り、R338へ。
海上自衛隊の艦船が停泊する大湊港を過ぎると交通量はだんだんと減少し、やがてマイペース走行を取り戻す。
鉞(まさかり)型の下北半島、その刃の部分を時計回りに一周する痛快なドライビングの開始である。
南西端の脇野沢までは、緩いコーナーの続く完全なシーサイド・ラインだ。
視界、左手には常に紺碧の陸奥湾、右には新緑の山々。
リラックス・モードでの快速クルージングが続く。

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道の駅「わきのさわ」に立ち寄り、向かいにある「山帽子」で天ざるラーメンと言う何とも微妙な昼食を摂る。
天ざる蕎麦の麺をラーメンのそれに置き換えたモノで悪くはないのだが、ツユがそばつゆそのまんまであることに気づいたのは、一口啜った後だった。
食後、虫だらけのフロント・スクリーンを拭き上げ、煙草を喫ってリスタート。
北上するR338は一転して急勾配の上り坂となり、2速-3速で走る山岳ワインディング・ロードの様相を呈するようになった。
比較的フラットなアスファルトにタイヤを切りつけ、DSCインジケータを明滅させながらひたすらコーナーをパスしてゆく。
開け放ったサイド・ウィンドウからは加減速にリンクして心地良い風が車室内に吹き込み、オッサン・ドライバーの頭をクール・ダウン。
彼方に空と海との境界線を見晴るかしつつ、刺激的なドライビングが続く。

仏ヶ浦
奇岩・怪岩が屹立するその様を一目見ようと、駐車場にB3を置いて新緑の遊歩道へと踏み出す。
なだらかな下り坂がだんだんと急になってきたところで、ハタと気がついた。
仏ヶ浦=海岸=遥か下=帰路はすんごい上り坂・・・。
案の定、崖っぷちからは無限とも思える階段が下方へと伸びており、海岸にいる人たちは豆粒のようだ。
帰路のことを考えると、下りなのに、しんどい。

090505仏ヶ浦観光遊覧船.jpg
下りきったところにある券売所のおっちゃんの呼び込みに負け、遊覧船で海から仏ヶ浦見物と洒落込むことにした。
乗り込んだのは、舳先の鋭いスマートな中型高速船・・・の隣で波に揺れている旧い小さな船。
いや、「舟」と書くべきであろう、ライト・ウェイトな感じが不安でたまらない一艘である。
私を含めて5-6名の客を乗せると、その舟はいきなりフル・スロットルで走り始めた。

「こ、怖い・・・」

090505仏ヶ浦観光遊覧船2.jpg
090505仏ヶ浦.jpg
押し寄せる波に翻弄され、激しくローリング&ピッチングする舟。
奇岩の正面で船頭のおっちゃんが説明を開始するが、こちらは揺れに抵抗すべく集中しているため、ふむふむと相槌を打つフリをしながらも全くアタマに入らない。
確かに景色は素晴らしいので、必死で写真を撮ろうと試みるも、揺れが酷すぎて構図もへったくれもありゃしない。
すれ違った高速船の立てた波を右舷に喰らったときは、マジで転覆すると思った。
かと思えばエンジンが咳き込んで黒煙を吐き、船頭のおっちゃんが説明を中断して慌てて操舵室に駆け込む場面もあった。
余りの滅茶苦茶加減に、乗客全員が半笑いである。
これまでに乗ったどの観光船よりスリリングであり、最高に面白く、かつ疲れた・・・。

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凶悪な上り坂にヘトヘトになって駐車場に戻り、暫く放心状態。
動悸が治まったところで再び走り始めたR388は、断崖上の屈曲路からやがて緩やかな海岸線沿いの道へと戻っていく。
いくつかの漁村を抜け、増えてきたクルマとともに走り、本州最北端の大間崎へと立ち寄った。
しかしさすがにゴールデン・ウィークとあってか結構な人で賑わっており、これまでも何度か訪れたことがあったため、早々に退散。
左手、津軽海峡越しに北海道を眺めながら、R279をのんびりと走る。
大畑で右折、川沿いのK4を突っ走って奥薬研温泉。
無料の露天風呂「かっぱの湯」でしばし寛いだ後、今夜の宿がある薬研温泉に向かった。

090505薬研温泉「薬研荘」.jpg
090505薬研荘のイヌ.jpg
平屋造りの「薬研荘」は、廊下を歩くとミシミシ音がするような旧い温泉旅館である。
部屋は6畳、テレビは今どき珍しい100円投入式だ。
しかし館内は清掃が行き届き、たいへん気持ちが良い。
かけ流しの温泉に浸かり、宿のイヌと遊び、ビール片手に山海の幸。
夜半に外へと出てみれば、星空を圧倒する煌々とした月明かりを浴びて、樹々が道の上に影を落としていた。

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本日の走行距離、444km。

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KLUM@北○謙三

「B3を駆るその男、煙草の火を消すとギアをいきなりトップにブチ込んで走り去ったのであった」
...う~ん、まさにハードボイルド!!??

今回も実に素晴らしいツーリングですね。羨ましい限りです。

次回もハードボイルドなレポート楽しみにしています!
by KLUM@北○謙三 (2009-05-12 00:08) 

to_ta

wataさん こんにちは

朝食よりもツーリング優先、気合の入り具合が違いますね。

船あり、犬あり(笑)で日帰りツーリングとは異なる切り口(?)ですね。
また、文面からゆったり(時間を気にしないで)と楽しんでいるのが伝わってきます。

続きの旅日記が益々楽しみになりました。
by to_ta (2009-05-12 07:05) 

amataro

wataさん こんにちは

北にはよさそうな道がたくさんありますね なにより交通量が少ないのがよさげです
天気も良かったようでまさにGT日和ですねー

その後、偶然女の子3人との再開とか、ドラマチックな展開はないのでしょうか?(笑) 



by amataro (2009-05-12 09:55) 

wata

KLUMさん、こんにちは。

いくら北方謙三とは言え、「ギアをいきなりトップにブチ込んで走り去」ることは不可能です。
間違いなく、エンストします(汗)。

グランド・ツーリングは、2日目です。
あと4日分の記事を、闇雲に上梓する予定です。
ハード・ボイルドの「ハ」の字もありませんが、何卒ご了承下さい(伏)。
by wata (2009-05-12 20:30) 

wata

to_taさん、こんにちは。

盛岡にはいくつものホテルがあるのですが、立地が少々不便なのにも関わらず朝食サービスがついていたので泊まったホテルです。
なのに、朝食前に出立。
全く意味がありませんでした(涙)。

せっかくのツーリング、時間を気にしながら走るのは大嫌いなので、仰るとおりゆったりと楽しんで参りました。
遊覧船の遊覧っぷりには肝を冷やしましたが、それも着岸と同時に楽しい思い出となりました。
しかし、転覆しないでよかった・・・(汗)。
by wata (2009-05-12 20:39) 

wata

amataroさん、こんにちは。

陸奥(みちのく)は、良い道が目白押しです。
かつ、幹線道路を除けば交通量も激少で、ほぼ完全に自分のペースで走ることができます。
最高ですよ、マジで(笑)。

>その後、偶然女の子3人との再開とか、ドラマチックな展開はないのでしょうか?

ありません(キッパリ)。
しかし、引っ張りますねぇ・・・(呆)。
by wata (2009-05-12 20:42) 

TM3

いや~ 綺麗です。なんでまたこんな風に写るのか。
いい写真ばかりです。
後の方は 「へーこんな写真も撮るんだ」 と、またまた関心。
器用なお方ですね

「みちのく一人旅」 いいね、これ。
by TM3 (2009-05-12 22:42) 

wata

TM3さん、こんにちは。

なんでまたこんな風に写るのかと言うと、それは単純に景色がキレイだからです。
景色がキレイなので、後はシャッターを切るだけでOKなんですよ(笑)。
「みちのく一人旅」に出れば、至るところでこんな景色が展開しています。

>器用なお方ですね

いや・・・。
逆立ちしながら頭の上に乗せたカメラのシャッターを足の指で押す、なんて中国雑技団みたいな器用なマネはできませんよ(←あたりまえだ)。
by wata (2009-05-12 23:13) 

MO~

wataさんの写真、毎度良いですね~
特に、青の表現力に長けているように感じます。

空の青、
海の青、
そして何より、
アルピナブルーの青、

これは、偶然ですか?狙ったものですか?
wataさんの写真の「青」が好きです。



by MO~ (2009-05-13 01:46) 

wata

MO~さん、こんにちは。

そう言われてみると確かに青が多いですね、写真のトーン・・・。
実際、東北は空も海も真っ青でしたし、私のクルマもたまたま青色なので、どうしても青色基調の画になってしまうんですよ(笑)。
そのキレイな青を、そのままできるだけ再現できればいいなぁと思っている次第です。
なので、

>これは、偶然ですか?狙ったものですか?

と問われれば、「半々です」とお答えすることになりますかね。
もちろん色温度を下げるとか、ホワイト・バランスをいじるとか、そういう高等なテクニックは一切用いておりません(涙)。
by wata (2009-05-13 19:25) 

koji

wata さんの行動力、もて力、とても同じ年とは思えません(笑)
オッサンのはずなのに元気ですねぇ(笑×2)
wata さんと比べると私などジイサンですな(泣)
ちったぁ、見習いたいもんです。

それにしても相変わらず絶妙なルート選択をされているようで気持ちよく駆け抜けられたんですね。この辺りGTのキャリアが物を言うんでしょうね。

私如きには真似ることさえ叶いませんが、『事故らず、壊さず、捕まらず』の三無い運動だけでも真似できるようにしたいと思います。

待つ、次号!
by koji (2009-05-13 19:26) 

wata

kojiさん、こんにちは。

オッサン、走りましたよ(笑)。
E36/M3に乗っていた若い頃よりも、今のほうが遥かに走っているような気がします。
B3はオッサンでもそこそこ走らせることのできる、なかなか稀有なクルマなんじゃないかと考えている次第です。
日程やルートの選定も、オッサンならではの狡猾さが奏功しているんじゃないかと思います。
基本は「人の裏を掻く」、ですからね(笑)。

>待つ、次号!

はい、それでは後ほど。
by wata (2009-05-13 19:34) 

k7_

wataさん、こんばんは。

一枚目の岩手山&B3は迫力ありますね!!
望遠ならではの迫力です。

どの写真も写っている以外の景色を思わず想像してしまいます。(笑)

ウィンドウ越しの菜の花の構図と光射す和室を写した構図・・・拝借させて頂きます。(←自分で考えろって)

ライトウェイトな「舟」のアトラクション!!(笑)
ご苦労様でした。

しかし、海が澄んでますね!!青森の海がエメラルドグリーンだとは思いませんでした。

ハイペースなクネクネ道とリラックスモードのクルージング。
実に楽しそうですね。
by k7_ (2009-05-13 20:11) 

DION

このルートは以前も走ったことがあるとのこと、
青森なのに!(汗)
愛車と景色を絡めての撮影、毎回素敵です。
「オッサン」だなんて・・・、
私も次回再開時には「オバサン」って書かなきゃいけないような気になりました。(笑)
文章を読み進めていくうちに自分も走っているような気分になります。
しがない318iですが。(笑)
ワンちゃん、なんだかうっとり状態ですね。
お宿のお写真、オーブも写っているのかと一瞬思いました。
GW中、お留守の間に過去記事をちらほら拝見しておりまして、
wataさんが阿波踊りが得意な方だとわかりました。(笑)
続きも楽しみです。
by DION (2009-05-13 21:02) 

TOSHI

wataさん、こんばんは。

「天ざるラーメン」
ボクもメニューにこれを見つけたら思わず注文しちゃいそうです。
しかし、ただのそばつゆというのは流石のwataさんも裏を掻かれてしまったカンジでしょうか?
そばつゆ+ラーメンだけでもボクの悪い頭は演算不可ですが、更に天ぷらがあり、わさびは・・・?薬味は・・・?あぁ、どんな味なんだ???
今日は眠れそうにありません。

「黒煙を吐くライト・ウェイトな感じが不安でたまらない舟」
最高に面白かったです。
ボクも海外で似たような状況に遭ったことがありますが、笑って話せるようになるまでにしばらく時間がかかりました。

ネタ?ばかりに反応してしまいました。
次回も期待しております!

by TOSHI (2009-05-13 21:07) 

wata

k7さん、こんにちは。

景色を撮ることを主眼としていたため、望遠レンズの出番は殆どありませんでした。
と言うより、望遠レンズで景色を切り取るだけのウデもセンスも無いんですね、私・・・(涙)。
まぁそもそも写真を撮るために旅に出たワケではありませんので、これぐらいでカンベンして下さい(伏)。

「舟」は仰るとおり、正にアトラクションでした。
吸い込まれそうなエメラルド・グリーンの海に、実際に吸い込まれるかと思いましたから(汗)。

by wata (2009-05-13 22:03) 

wata

DIONさん、こんにちは。

私、逃げも隠れもせずに正直に申し述べますが、単なるオッサン・サラリーマンでございます・・・(哀)。
下北半島、南岸と西岸は今回初めて走ったのですが、最北端の大間崎には何度か立ったことがあるんです。
ここから出航する函館行きのフェリーに乗ったんですよ。
部屋の写真、キラキラしてイイ感じだなーと思ったりもしたのですが、光っているのは恐らくレンズについたホコリなんです(涙)。

>wataさんが阿波踊りが得意な方だとわかりました。

そうなんですよ、実は若い頃に本場の徳島で数年間修行を重ねまして、今でも軽いステップでえらいやっちゃえらいやっちゃよいよいよいよい

・・・って、違いますから(汗)。

by wata (2009-05-13 22:16) 

wata

TOSHIさん、こんにちは。

「天ざるラーメン=天ざる蕎麦-蕎麦+ラーメンの麺」、です。
従って天ぷらは普通に野菜や海老で構成されていますし、薬味にはネギとワサビ、更にはウズラの卵が添えられています。
メニューの写真を見たとき、天ぷらや薬味はともかくツユはつけ麺のそれを想像していたのですが、結果、100%のそばつゆでした。
是非一度、ご賞味下さい(汗)。

>最高に面白かったです。

えぇ、確かに面白かったのですが、そう思えたのは下船してからのこと。
乗ってる最中は不安でたまらなく、いよいよ海の藻屑と消えるかと思いました。
これからのグランド・ツーリングは、事故らず・壊さず・捕まらず・沈まずの「四無い宣言」でいこうと思ってます。
ご唱和下さい(汗)。

by wata (2009-05-13 22:30) 

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