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GT2011北海道[7]:余波 [drive/touring]

7日目のGT。
去り行く台風の影響を気にしつつ、十勝平野を抜けて襟裳岬へと走った。

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関東地方を蹂躙した台風15号は一夜明けて根室沖を北上中、TVの道内ニュースは太平洋沿岸の暴風や道東方面の豪雨をひっきりなしに伝えている。
しかしながらここ上富良野は無風、雨もポツポツと降っている程度で拍子抜け。
北海道は確かに都道府県のひとつではあるが、その面積は九州と四国を合わせたよりもまだ広いのだ。
同じ道内でも地域によって天気が大きく異なることも、当たり前っちゃー当たり前なのだろう。
やっぱりデカい、デカすぎるぞ北海道(汗)。

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夕べは喰いきれないほどの家庭料理を腹に収め、宿の主人や同宿の皆さんとパブリック・スペースで23時頃まで酒を呑んでいた。
今朝はゆっくり6時に起き、今回のGTで初めて宿の朝食を喰う。
止みつつある雨の中、ホースを借りてB3をザッと水洗いしてから出発した。
今日は襟裳岬まで南下するのだが、抜けつつある台風の影響は時間を追って弱まるハズなので、これまで以上にのんびりと行くべきであろう。
そこでR237から脇道に入り、富良野の丘陵地帯を当ても無くフラフラと走った。
江花パノラマロードは、富良野岳に向かって気持ち良く延びるストレート。
北海道の直線道路は距離が長いだけでなく、いずれも実にフォトジェニックである。

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小雨のD253をカッ飛ばして、富良野エリアを出る。
R38を走り、JR根室本線の幾寅駅[いくとらえき]に立ち寄ってみた。
ここは高倉健主演の映画「鉄道員[ぽっぽや]」の舞台となった駅なのだが、劇中の架空の駅「幌舞[ほろまい]」の名前が至るところにそのまま遺されている。
映画関連の展示スペースも大きく取ってあり、ホンモノの駅舎だとは思えないほどだ。
ひょっとしてここはセットじゃ無いのか?と疑い始めた矢先に、汽笛を鳴らして1両編成のディーゼル車が到着。
なるほど、こりゃ確かに現役の駅舎だわ。
それにしても、今朝水洗いしたばかりのB3がもう汚い。
トラクターなどの農耕車輌が畑から一般道に出てくる際に撒き散らした泥が、雨で跳ね上げられてB3のボディをガッツリとコーティングするのである(涙)。

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R38で狩勝峠を越えて十勝平野に入ると、空は曇っているものの道路に雨の痕跡は無い。
今回の台風でも雨は降らなかったんじゃないかぐらいの感じで、峠を境に空気までもがカラッと爽やかになっている。
国道を離れてD133で東に走り、十勝牧場に立ち寄った。
ここはアプローチの白樺並木が素晴らしく、その様は思わず見惚れてしまうほどである。
路面はダートだが、それが雰囲気を一層イイものにしていると思われた。
ここからほど近い街は帯広、帯広と言えば豚丼なので、携行している「ツーリングGO!GO! 0円マップ北海道」を開いて店を探す。
十勝豚丼いっぴん 帯広本店」は店の外にまで香ばしい匂いが拡がっており、ちょうど正午の店内はおじちゃんおばちゃんから女子高生まで大入り満員だ。
豚丼はとても旨い、こんな店が会社や自宅の近くにあったら週に一度は通うだろうと思う。

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飯を喰ったら南へ下ってゆくのだが、どうせなら国道を外して広大な十勝平野のフラット&ストレートを行こう。
街外れからD240に入り、ギアを6速まで上げてひた走る。
上札内[かみさつない]でD55にスイッチし、右手に日高山脈を仰ぎつつ、アスファルトの消える一点を目指してカッ飛ばす。
直交する防風林の壁が次々と後方にふっ飛んでいき、B3の前を走っていた車輌はそのことごとくが一瞬でバック・ミラーの藻屑となる。
R236との交点で道の駅「コスモール大樹」に立ち寄り、道路情報をチェック。
今朝のニュースで、襟裳岬へと続くR336が台風の影響で通行止めになっていると聞いていたのだ。
インフォメーション・ターミナルではその情報が確認できなかったため、受付のおねいちゃんに魅力全開スマイルで尋ねたところ、規制は解除されたとの嬉しい返事が魅力全開スマイルと共に返って来た。
よしよし、これで予定通り襟裳岬まで走れるぞ・・・と外に出れば、雲間からところどころ青空が覗くまでに天候は回復している。
大いに結構、と独り頷きB3をリスタート、D55→R336と結んでD1037のスーパー・ストレートを走った。
アップダウンを挟むためにその全容を目で確認することはできないが、ここもまためっちゃくちゃな直線路。
6速4500rpmを超えた辺りで、このままだと離陸するんじゃないかと思ってスロットルを絞った。
いやはや、直線番長もビックリである(汗)。

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R336/黄金道路を南下するB3。
フンベの滝付近、気がつけば晴れ間は遠くに消え、空には見渡す限りの雲が拡がっている。
風はそれほど吹いてはいないが台風15号の余波であろう、左手に見る太平洋は今もなお荒れており、濃褐色の波が岸辺を叩く。
その波頭は時折防波壁を越え、道路にまで降りかかる。
沿岸を遠く見やると白く霞んでいるのだが、これは霧などでは無く、砕け散った波の飛沫なのだ。
久しぶりに走る黄金道路は相変わらず荒々しい印象、昔も今も常にどこかで工事をしているが、その甲斐あってか立派なトンネルがいくつもできていて驚いた。
望洋台の先からD34で襟裳岬まで来ると、急に雨が降り始める。
風も強まり、とても岬の先端まで歩ける状況では無いため、観光施設「風の館」にちょろっと立ち寄っただけで退散した。

西に向かうR336には、波しぶきがバンバンかかっている。
襟裳岬だけで降っていたと思われる雨は上がっていたが、路面は海水で濡れており、その跳ね上げと打ちつける波しぶきでB3は潮まみれだ。
何ともすんごい状況である。
様似[さまに]を過ぎて道がJR日高本線と絡むようになると前に多数のクルマが現れ始め、ペースがまったく上がらない。
時刻は16時、宿のある新冠[にいかっぷ]まではまだかなりの距離があり、カーナビに計算させると到着時刻は18時半と出た。
できれば暗くなる前に着きたいのだが、このペースではカーナビの言うとおりになるだろう。
そこで距離が大幅に延びることを承知の上でR336を捨て、東町から内陸方面へと駆け上がり、D1025を走りまくる。
路面は荒れているため、ギャップやバンプを見逃さないよう神経を研ぎ澄ませている必要はあるが、それでも楽しいカントリー・ロードのマイペース走行。
沿道の牧場では競走馬があちこちで草を食み、実にいい感じであった。

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静内からはD71をカッ飛ばし、17時前に「シルバーフォレスト レストロッジ」に到着。
カーナビの到着予想を1.5時間も短縮し、大いに溜飲を下げた(笑)。
チェック・インの前にまず水道を借り、泥と蟲、そして海水にまみれた汚れ放題のB3を徹底的に洗う。
一通り拭きあげると、まるで自分がシャワーを浴びたかのように気分がスッキリした。
離れにある風呂にゆったりと浸かり、広々としたダイニングで晩飯を喰う。
スープやサラダなどからして実に結構だったのだが、メインのサフォーク種ジンギスカンの旨さには心底ブッたまげた。
餌から気を遣って自家牧場で育てている羊だとのことで、臭みが無いどころかとてもいい香りがするのだ。
塩で喰えるジンギスカンなんて、初めてである。
全て併設の農場から摂ってきたと言う野菜も、味が濃くてとても旨い。
〆に出てきた蕎麦はなんと手打ち、蕎麦粉も山わさびも自家製だと言うから恐れ入る。
うーむ、素晴らしい。

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暖炉に揺れる火を見つめていると、睡魔がゆっくりとやって来る。
「明日走って、明後日はフェリーに乗るのか・・・」
部屋に戻ってベッドに転がり、いよいよ旅の終わりが見えてきたことをしみじみと実感する45歳。
が、しみじみとしていても仕方無いので、寝た。

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9月22日の走行距離は、430km。
走行時間は6時間14分、平均速度は69.0km/hだった。

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コメント 10

amataro

こんにちは

んーまっすぐにも程があります こんな道は北海道じゃないとありえないですね
しかし写真を拝見するだけでも爽快極まりなしです

バナーの1枚もお見事としか言いようがないです
いやーいつか北海道行かなければ、とつくづく思いました



by amataro (2011-10-09 23:49) 

wata

amataroさん、こんにちは。

いやもう、とにかく真っ直ぐですよ(笑)。
北海道には有名な直線ポイントがいくつかあり、1枚目の江花パノラマロードには「かみふらの八景」と書かれた案内柱が立っていました。
ちなみにここ、私が持っている「ツーリングマップル北海道(2004年版)の表紙写真が撮影された場所でもあります。

北海道、是非行ってきてください。
一生に一度、一週間ぐらい仕事休んでも大丈夫ですよ、きっと(笑)。

by wata (2011-10-10 10:17) 

パンサー

こんばんわ。
今回も実にいいコースの選択ですね。バイク用のマップは必須ですね。
豚丼!いっぴんはナイスです。炭火の香ばしさは共感します!!

黄金道路の高波は大丈夫でしたか?B3が塩まみれになりますよ。
この後の様子ですと、武川で本物の『ししゃも』かな・・・
勝手に先走ってしまいましたね(笑)
by パンサー (2011-10-10 21:33) 

wata

パンサーさん、こんにちは。

「ツーリングGO!GO! 0円マップ北海道」は、地図と言うよりライダー向けのツーリング・ガイドですね。
使える情報が満載で、九州版や信州版に続いて3冊目となりました(笑)。

記事にも書いたとおり、黄金道路で波しぶきや路上の海水を被ったB3は潮まみれとなり、宿にて全力で洗いました。
ちなみに鵡川は翌日に通り過ぎただけで、ししゃもにはありついていないのです(涙)。

by wata (2011-10-11 00:07) 

zdm1929

こんにちは(^^)
おぉ!コレですね!!前回予告していただいたアレは♪
塩で喰えるような素晴らしい肉ならやはりこういった食べ方がイチバンかも知れませんね~!
幌舞駅のかもし出す雰囲気はヨダレが出るほど素晴らしいです!
是非とも行ってみたい場所ですね(^^)
by zdm1929 (2011-10-11 16:34) 

wata

zdm1929さん、こんにちは。

しつこいようですが(汗)、このサフォーク種ジンギスカンは驚きの旨さでした。
臭みが無いだけでなく、牛肉や豚肉とも異なる旨味が抜群で、出された肉の半分を塩で喰いましたよ。
・・・しかし、この写真ではその旨さをまったくお伝えできていないのが残念です(涙)。

幌舞駅(幾寅駅)は、実際とは逆に「映画のセットをJRの駅として使ってるんじゃないか」ぐらいの雰囲気です。
この日も鉄道系らしき方々が訪れており、すんごいカメラでガシガシと撮影しておられました。
・・・しかし、この写真ではその雰囲気をまったくお伝えできていないのが残念です(涙・2)。

by wata (2011-10-11 19:19) 

s_saigo

また出ました。
感動の一直線道。
北海道レポートをみて、一人旅か
息子と二人旅がしたいなぁ、としみじみ思いました。
私もやってみたいです。
いつもの疲れる札幌出張とは全く違うんでしょうね…。
by s_saigo (2011-10-11 20:01) 

wata

s_saigoさん、こんにちは。

はい、北海道には感動的なストレートが多々ありました。
地図を見るとよくわかるのですが、十勝平野は定規で引いたような直線路で巨大な碁盤状態となっており、交差点を直角に曲がるとき以外にステアリングを切ることが無いんです(笑)。

北海道に於ける札幌は、むしろ例外的な大都会だと思います。
出張の翌日にでも時間を作っていただき、道東方面の空港まで飛んでレンタカーで周ってみて下さい。
次回はご自分のクルマで走りたくなりますよ、きっと(笑)。

by wata (2011-10-11 21:00) 

suite-spiral

この記事を拝見して、大学生の時、青春18切符をフル活用して、道北を除く今回のGTのrouteに近い工程を一人旅したことを懐かしく思い出しました。

襟裳岬から終発のバスで夜霧の立ち込める沿岸のrouteを様似まで行った記憶が鮮やかに蘇りました。

wataさんのtouring記は疑似体験を超えて、旅情を誘いますし、読んでいて無性に駆けたくなってきます。

・・・というような形でインスパイアされた結果、思い切って溜まっていた振休を繋げて、B3と共に駆けているところです。wataさんのGTとは比べようも無い程のputi-GTですが(笑)

by suite-spiral (2011-10-12 08:01) 

wata

suite-spiralさん、こんにちは。

道内の路線はずいぶん廃止されてしまいましたから、今は鉄道メインで北海道を周るのは大変かもしれませんね。
私は鉄道での旅は殆ど経験が無いのですが、両親は数年前に「青春18きっぷ」で東北を巡り、とても楽しかったと言っていました。

で、ひょっとすると現在はB3でツーリングの真っ最中なのでしょうか。
いや~、季節もいいですし羨ましい限りです。
どうぞ気をつけて、楽しんで走ってくださいね!

by wata (2011-10-12 19:52) 

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